一般社団法人日本経済団体連合会が2017年8月2日に公表した「2017年夏季賞与・一時金 大手企業業種別妥結状況(加重平均)」の最終集計によると、2017年における夏のボーナス平均妥結額は87万8,172円であることが分りました。1社あたりの単純平均では77万9,029円となっています(調査対象は、原則として東証一部上場、従業員500人以上、主要21業種の大手251社)。

一方、一般社団法人労働行政研究所の「東証第1部上場企業の2017年夏季賞与・一時金(ボーナス)の妥結水準調査」によると、同じく2017年の夏季ボーナスの平均額は全産業平均で72万8,662円。若干の違いはありますが、おおむね70万円超という水準であることが分ります。前年同期比は横ばいです(調査対象は、東証第1部上場企業127社)。

また、「支給月数」について見てみると、最低月数が1ヵ月、最高月数が3.66ヵ月、平均月数では2.39ヵ月となりました。このような結果から、一般企業では、おおむね2カ月分の給料額がボーナスとして支払われていると分かります。特に日本企業においては、慣例として、夏と冬のボーナスが一般的であることを考えれば、企業は年に2回(7月と12月)、相当額のボーナス支給が必要となります。

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(写真=PIXTA)

ボーナス(賞与)の本来的な役割と日本の慣習

そもそもボーナス(賞与)とは、企業における“利益の還元”として位置づけされています。特に欧米の企業においては、ボーナスが「特別配当」「報奨金」として取り扱われているように、根底には、企業の業績に応じて支払われるという発想があります。

しかし、日本の場合は少し事情が異なります。会社からの給料が「年収」というよりも「月収」という概念で捉えられているため、ボーナスについても、特別配当や報奨金というより“一時金”として位置付けられているのです。

つまり、日本におけるボーナスとは、企業の業績にかかわららず支払われるのが一般ということを意味しています。このような認識が一般化している現状は、経営層にとって負担かもしれません。ただ、優秀な人材をつなぎとめるには仕方がないのも事実です。

ボーナス資金の捻出は「融資」でも

業績が思うように伸びておらず、利益が出ていないときのボーナス支給は、経営に大きな影響を与えます。資金に余裕がある大手企業ならともかく、中小企業であればなおさらです。経営状態が不安定なときであれば、ボーナス支給が重荷となるのです。

では、どのようにしてボーナス支給を実現すればいいのでしょうか。ポイントは「融資」にあります。あまり知られていないことではありますが、国の制度として、ボーナス資金を含めた運転資金の融資制度があります。ボーナス支給が難しいときは、融資を検討することも可能なのです。

経営状況が見通せず、ボーナス支給が難しいと判断したときは、商工会議所や日本政策金融公庫に相談してみましょう。その上で、融資も含めた最適なプランを構築することができれば、社員との信頼関係を維持したまま、経営環境を安定化させることが可能となります。

その際には、中長期的な資金繰りについても考えておくべきでしょう。例えば、夏季ボーナスの支給時に融資を受け、冬季ボーナスの支給時にも融資を受けるとなると、一時的に資金繰りが逼迫してしまう恐れがあります。そのようなリズムに慣れる努力が必要です。

ポイントは、あくまでも短期資金としてボーナス融資を捉えておくということです。長期資金として考えてしまうと、まだ余裕があると勘違いしてしまい、中長期的な資金繰りに影響を与える恐れがあります。

借入をしっかりと返済した実績ができれば、一定のリズムでボーナス融資を受けられるようになる可能性もあります。ボーナス融資は短期資金であると認識し、経営状況を踏まえて上手に融資を活用しましょう。(提供:ビジネスサポーターズオンライン)