日本の終身雇用制度が、実質的に機能しなくなり始めたのは90年代からと言われています。近年、「社畜」という言葉も生まれたように、それから20年以上の年月が経過しても会社に身も心も捧げるビジネスマンが後を絶たないのが現状です。

老後の年金不安、終身雇用制度の崩壊、大手企業の早期退職募集など…今や大手企業の会社員や公務員など一生安泰だと考えらえてきたい人でも、所属する組織だけで「経済的自由」を得ることは厳しい時代になっています。

将来を見据えたビジネスマンは「本業」「副業」「投資」という3つの軸でバランス良く、収入を得ること念頭に置いて行動しています。今回は、そのための指針や具体的な行動についてお伝えします。

サラリーマン生活で収入を増やす3つの投資とは

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(写真=aodaodaodaod/Shutterstock.com)

今の世の中で将来を見据えた「経済的自由」を得るためには、次の3つの投資が必要でしょう。

まずは、本業に関わる「自己投資」。責務や専門性の高い仕事ほど「年齢・キャリアに関わらず一生勉強」と言われるように、本業を今以上に極めてステップアップするための「自己投資」は、収入を拡大させるための核となります。

所属する企業の業界事情やトレンドを学ぶ「自己投資」は、会社内での地位を上げ職域を広げることによる収入アップにつながるのはもちろん、専門分野を強みにすることで副業の武器にもなっていきます。語学、財務、経営学、マーケティングといったスキルは、ビジネス界のあらゆるフィールドで重宝されるため、これも本業だけでなく、副業の収入アップにもつながるでしょう。

次が、副業に関わる「自己投資」です。かつての日本企業では副業禁止が不文律でしたが、2017年の調査では「副業を容認・推奨する企業」は22.9%となり、会社員であっても副業で収入を得るという方法が一般的になってきています。副業は本業に支障のないよう、時間と体力をできる限り抑え、効率良く収入を得られる職種や内容がベターです。

すぐに始められるのは、アフィリエイトなどの広告収入やクラウドソーシングなどで得るクリエイティブワークです。どちらも始めるハードルは低いのですが、正しい知識や技術を持っていないと収入には 結びつかないため、稼ぐためには「自己投資」として学ぶことが必要になります。

また副業で新規事業を立ち上げるといった方法もあります。この場合は経営手法、その業界の研究、マーケット調査などを行う「自己投資」も必要ですが、有益な人々と交流して刺激を受けたり、ビジネスを広げるための「人脈づくり」をしたりすることも「自己投資」の一環となります。

最後にいわゆる「資産運用」による投資です。株式投資が小口で始められる昨今は、サラリーマンや主婦が少額を元手に資産を増やした成功例も多く聞かれるようになりました。金融商品も多様化し、FX、不動産投資など様々な商品が簡単に購入できるようになっています。

中でも特に注目されているのが不動産投資です。利回りが得られやすい物件を選定するといった事前調査や業者選びでリスク回避をしやすく、また資産にもなることで、昨今注目を集めている「資産運用」の一つです。

経済的自由に向けて「集中投資」と「分散投資」のどちらが良い?

効率的に収入を増やすに当たって、「集中投資」と「分散投資」のどちらが適しているのでしょうか。「集中投資」「分散投資」のいずれも本来は、証券用語です。

「集中投資」は銘柄を絞って一気に投資を行うことで、短期に大きい利益を得るチャンスがあるもののリスクも大きい、ハイリスクハイリターンな方法です。これに対し「分散投資」は、複数の銘柄に分散させてリスクを小さくする代わりに大きいリターンは見込みにくい、堅実な投資方法と言えます。

このように「集中投資」「分散投資」は、それぞれに明確なメリット・デメリットがありますが、どちらが望ましいのでしょうか。

いずれが適しているのかを、本業・副業・資産運用、それぞれで検証します。

世界的に著名なアメリカの実業家・投資家であるウォーレン・バフェットは、「基準を満たす優れた企業への集中投資」をポリシーとしています。

バフェットのポリシーを参考とするならば、「優良である」と自分で確実に判断できるものには「集中投資」。リスク回避を重視するフェーズでは「分散投資」と、バランス良く使い分けるのが良いでしょう。

本業や副業に必要な「自己投資」である、語学・資格・専門知識の取得、業界研究、市場調査、人脈づくりなどは、自身で重要性や緊急性が判断できるます。こうしたものは「集中投資」を行うことで、短期にリターンが見込めます。

逆に会社に所属して本業、副業に「自己投資」をしながら、将来への布石づくりとして行う「資産投資」は、優れた企業を見極める力を養いながらリスクの少ない「分散投資」を行うのが適切と言えるでしょう。

目の前の本業への本気度が、自分への投資になる

成功している実業家も投資家も「本業」という核たる分野を持ち、そこを強みにして副業・投資に拡大して資産収入を得ています。

例えば、副業のアフィリエイトで月300万円の収入を得ている人の大半は、ただラクして稼いでいるわけではなく、web広告の仕組みやマーケティング、企業特性と市場調査の専門知識を得て、その上でトライアンドエラーを繰り返し、勝ちパターンを得ています。

経済的自由を得るには「核である専門分野」という武器が欠かせないと言えるでしょう。それを日常の中で培える一番の機会は、本業で力をつけることではないでしょうか。

つまらないから、嫌だから、儲からないから…と本業をおろそかにして、たまたま上手くいっている副業や資産投資にばかり注ぎ込むと、せっかくの「核である専門分野」を培い磨く機会を損失してしまいます。副業や資産投資は、景気の変動や読みの違いで下がってしまうこともありますが、本業で得た武器は永遠に自分の財産となるものです。

米経済学者のピーター・ドラッカーの言葉にも次のようなものがあります。

自己啓発とは、能力を習得するだけでなく、人間として大きくなることである。
責任に重点を置くことによって、より大きな自分を見るようになる。
「仕事の哲学」 P.F.ドラッカー

能力を習得する方法は会社組織の外にも数多くありますが、組織の中でチームメイトと協力をしながら責務を全うする経験など、やはり本業に打ち込むことが大きな成長への近道となることも多いのではないでしょうか。それがいずれ本業・副業・資産投資のあらゆる面での「経済的自由」への蓄積となるでしょう。(提供:Incomepress

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