ネスレ日本が業界団体脱退
7月23日ネスレ日本は、全日本コーヒー公正取引協議会を退会することを発表しました。理由は、同社のブランドである「ネスカフェ」で、これまで「インスタントコーヒー」と表記していたものを、新製法を採用したことに合わせ「レギュラーソリュブルコーヒー」と改めたことに対し、全日本コーヒー公正取引協議会が認めないとしたためです。「レギュラーソリュブルコーヒー」は、コーヒー豆の微粉末をコーヒーの抽出液で包み込んだ独自の製造法です。
ネスレ日本は、全日本コーヒー公正取引協議会を含めた関連団体に所属したままでは、「レギュラーソリュブルコーヒー」の名称を使えないとして、全日本コーヒー公正取引協議会だけでなく、全日本コーヒー協会や、日本インスタントコーヒー協会、日本珈琲輸入協会も合わせて脱退しました。
また、ネスレ日本は、「レギュラーソリュブルコーヒー」という名称について、公正取引委員会や消費者庁からは特に指導がないことからも、この名称を使い続けることを表明しています。ネスレ日本側は、関連団体が新名称の使用を認めなかったことについて、特定企業の経済活動を恣意的に阻害するものであり、現在及び将来のコーヒー業界全体の革新性を奪うものであるとし、「大変残念。」とコメントしています。日本の即席コーヒー市場を牽引してきた代表的企業が、同時に4団体から脱退するという異例の事態が起きています。
消費者の混乱を招くと判断した団体
この「レギュラーソリュブルコーヒー」という独自製法は、2010年から発売されていました。お湯を注いで飲めるということでは、従来のインスタントコーヒーと変わりませんが、製法が異なることからネスレ日本は「異なるジャンル」として製品ラベルに「レギュラーソリュブルコーヒー」と表記してきました。
ところが全日本コーヒー公正取引協議会は今年の6月の総会で、「レギュラーソリュブルコーヒー」の表記は消費者がレギュラーコーヒーであると誤解を招くため、名称の使用も、広告での表現も認められないと決定しました。
また同協議会は、新製法について記載するのであれば、重量比によって「レギュラーコーヒー(インスタントコーヒー入り)」、「インスタントコーヒー(レギュラーコーヒー入り)」と表記することを規約の改定案に採択しました。これに対しネスレ日本は、既に販売や広告展開をしている「レギュラーソリュブルコーヒー」の名称が使えなくなることを避けるため、同協議会を退会することを決めました。いずれの関連団体にも属さないことで、独自の販売活動が可能になるという判断です。