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(写真=PIXTA)

「長野県」と聞くと、りんごや信州そば、日本アルプスやスキー場などグルメや観光のイメージが強いかもしれません。しかしその裏で電子部品や精密機械、ギターをはじめ工業製品の出荷額が全国トップクラスであることはあまり知られていません。諏訪地方ではかつて高級腕時計の一大産地として「東洋のスイス」と呼ばれていたこともありました。

豊かな自然が育む水ときれいな空気が工業生産に適した長野を「しあわせ♡信州」というブランド戦略で発信しようという動きがあります。

実は工業の一大集約地・長野

精密機械の工業分野で世界をリードする産業も持つ長野ですが、これまで観光やグルメのイメージが強く、うまく情報発信ができないでいました。

もともと長野は製糸業が盛んな地域でした。高い生産技術と工業生産に欠かせない豊富な水ときれいな空気をベースに、現在では精密機器や電子電気関係で日本を代表する工業地域に生まれ変わっています。

工業分野別の出荷額を見てみると、情報通信機械器具製造業では全国トップ、加工組立型産業や電子部品・デバイス・電子回路製造業は全国2位のシェアを占めています。また、顕微鏡やギター、パソコンなども全国1位の出荷額です。県内には経済産業省が選ぶ「元気なモノ作り中小企業300社」のうち10社があり、優れた加工技術で世界的にも注目されています。

とくに諏訪市や岡谷市、下諏訪町などの諏訪湖周辺は名だたる精密機械メーカーが集積しています。なかでもセイコーエプソンは諏訪地域を代表する精密機器および情報関連機器メーカーで、古くからクォーツに使用される水晶振動子やプリンター、プロジェクター、パソコン、半導体などの製造を続けています。

こんなにたくさん!長野の魅力をブランド化

こうしたハイレベルな工業生産力のように、長野にはまだまだ発信するべき魅力がたくさんあります。しあわせ♡信州とは、長野県民を挙げて愛する信州のおすすめをブランド発信していこうというプロジェクトです。

キーワードは「しあわせ」につながるもの。長野が大切にしてきた豊かな自然、真面目な県民性、そして長寿県としての魅力。世界に誇れる長野のしあわせを県内外に発信して、信州ブランドをもっと普及させようという取り組みです。

「信州ハート」と呼ばれる愛称のロゴマークをジャムやチーズなどの農産加工品や漆器といった伝統工芸品に使用したり、県民が身近なしあわせをSNSで発信する「しあわせ信州を見つけようプロジェクト」の立ち上げ、公式PVギャラリーを通して長野の魅力を動画で発信する試みなど、さまざまな角度から信州のしあわせを発信しています。

信州長野の新時代が盛り上がり中

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(写真=PIXTA)

実際にしあわせ信州ブランドを冠した商品やサービスをご紹介しましょう。2016年大河ドラマ「真田丸」で注目された信州上田は真田家ゆかりのまち。市内には宿場町の面影を残す柳町や上田城下の台所として栄えた海野町には老舗酒蔵やそば処、天然酵母パン店などがあり、観光客が引き寄せられるように入っていきます。

食の分野では長野全体で「信州産シカ肉認証制度」を導入、ジビエ料理の普及に力を入れており諏訪湖に近い茅野市のカントリーレストラン匠亭ではマスター自身が狩猟した鹿や猪の肉料理が楽しめます。

文化面では、世界的指揮者・小澤征爾氏を総監督に迎える「セイジ・オザワ 松本フェスティバル(OMF)」が代表例です。1992年にスタートした「サイトウ・キネン・フェスティバル松本」を前身とするクラシック音楽の祭典で、市民ボランティアにより運営されています。若手音楽家の交流や本格的オペラなど、地方都市の音楽祭とは思えない規模の大きい内容が高い評価を受けています。

しあわせ信州ブランド戦略は、これまで長野県民にとって当たり前だった地域の宝物を改めて見直し、国内外へと発信する貴重な機会となっています。りんごや信州そばだけではない信州の魅力を、ぜひ多くの人に知ってもらいたいものです。(提供:JIMOTOZINE)