3月23日(金)の日経平均は一時1,000円を超える大幅下落に見舞われた。

終値 :20,617円86銭
前日比:マイナス974円13銭 
下落率:マイナス4.51%

これは絶好の買い場なのだろうか。それとも、まだまだ下落は続くのだろうか。業界の著名人2名に聞いた。

日経平均.マネックス証券,広木隆,大和証券,木野内栄治
(画像= ImageFlow/Shutterstock.com)

大和証券チーフテクニカルアナリスト 木野内栄治氏

市場・制度分析アナリストとして、アナリストランキング15年連続1位(日経ヴェリタス集計)の大和証券チーフテクニカルアナリストの木野内栄治氏に聞いた。要点は以下だ。

・米国株の底割れはリスク材料。NYダウのチャート形状は、底割れすると1週間ほどは手がつけられない下落となることが懸念される。ただ底割れと決まったわけではない
・アベノミクス発動後、900円以上の下落は6回あった。いずれも短期的な底値近辺である
・為替も円高に触れているが年度末ゆえに需給がタイトという特殊局面の影響もある。1週間ほど我慢をすれば落ち着くのではないか
・向こう1週間ほどは、さらなる下落もありえるが、そこが底になるのではないか

なお、木野内氏は、ZUU online上の2018年新年インタビュー(2017年12月18日にインタビュー実施)で、

「ビットコインに関しては、ちょっと年明けが心配だと見ています。私はマーケットアナリストなので、「仕手株」と呼ばれる需給だけで動く株式の分析をすることもあるのですが、13週移動平均線をよく使います。そこから大体100パーセントぐらい乖離すると仕手株はピークアウトする事が多いです。まさに今、ビットコインは13週移動平均線から100パーセントほど乖離しているんですね。 さらに、税制改革で2018年から、アメリカの所得税が押しなべて下がります。言い換えれば、2017年中に利益確定すると税金上不利なので、2018年になってから利益確定しようと思っている人が多いはずです。アメリカ人がどれだけビットコインをトレードしているかという問題はありますが、2018年になるとビットコインに限らず、高騰していた資産は、一旦売りに押されるという可能性はあります。」

「2017年末にかけて大幅に株価は上昇していますが、2018年も買い場はあると思いますよ。特に年初(年前半)にあると思います。先ほど申し上げたように、アメリカは税金が安くなるので「年またいでから利食った方がいいだろう」という人は出てくるはずなのです。過去の減税が実施された年初って、結構アメリカ株は下がった事が多いのです。」

と述べている。ビットコインの急落はドンピシャで当てている。2月の長期金利急騰による世界同時株安も含めて、株式市場の調整も予言していた。そんな同氏は「2018年度末にかけて日経平均は3万円になる」と予想している。

マネックス証券チーフ・ストラテジスト 広木隆氏

マネックス証券チーフ・ストラテジストの広木氏と言えば、金融業界を代表する日本株のストラテジストだ。テレビやメディアへの出演も多く、ロジカルでシャープな解説は、個人投資家のみならず、金融業界の関係者からも非常に注目されている。広木氏の見解の要点は以下だ。

<ここまでの展開>
・原因は「昨晩の米国株の急落」
・では米国急落の原因は何だったかというとトランプ政権による高関税による対中貿易の制限策
・これによって、ドル円レートが一気に105円を割れて104円に突入した

<今後の展望>
・国内政治情勢を含めて悪材料だらけだが、だからこそ底値付近ではないか
・2万円割れの可能性は低い。割れたとしても瞬間最大風速
・メディアは大々的に「米中貿易戦争」を叫んでいるが、これは中間選挙を睨んだトランプ大統領の「パフォーマンス」であり、中国側もそれを良く理解している
・米中貿易戦争はアメリカ産業界にとってもメリットなし。従って、実際には軽微な制限で落ち着く公算が高い

<テクニカル的な分析>
・PERでいえば歴史的な低水準。しかし、予想PERは、来期の予想EPSから計算しており、円高が続くと来期は減益になる可能性もある
・今のように、先行き不透明なときはPERのような「フロー」の指標は使いづらい
・注目は「ストック」の指標であるPBR
・日経平均をひとつの会社とすれば、今の純資産額は18,000円くらい
・日経平均が2万円としたらPBRは約1.1倍
・結論として日経平均2万円は岩盤、ここがボトムだろう

広木氏も木野内氏と同様に「2018年度末にかけて3万円になる」と予想している。金融業界を代表する2名の声に耳を傾けるとすれば、今後多少のボラティリティはあったとしても、現在の水準は買い場なのかもしれない。(ZUU online 編集部)