今週の焦点は米国株がここで下げ止まって切り返せるかどうかに尽きる。ダウ平均の終値のチャートを見ると、三角保ち合いを下放れて底割れしたように見えるが、1)ローソク足で見ればWボトム、2)200日移動平均を割り込んでいない、ことからまだ相場は完全には崩れていない。崩れる一歩手前で踏みとどまっている。S&P500の終値のチャートはWボトム、ローソク足で見れば200日線できれいに支えられている。逆にここを割ってしまうと一気に悲観論が強まるだろう。正念場である。

2月初旬の雇用統計を機に、波乱相場となって約2か月だが、この間、出てきたひとつひとつの悪材料に対して米国株相場は比較的早く消化してきた。ただ、悪材料が次から次へと噴出してきたので、一向に落ち着かない展開となってきた。今回も貿易戦争の様相で振り上げたトランプの拳に、いったんは驚いてみせた市場だが、懸念先攻で実体の見極めはこれからだ。初動のリアクションとしては、ここで止まる可能性が高い。

国内では森友学園への国有地売却を巡る決裁文書の改ざん問題で、27日に予定される佐川・前国税庁長官の証人喚問が注目材料。しかし、佐川氏を証人喚問したところで真相は明るみにならず、すっきりしないまま終わるようなイベントとなるだろう。また、27日は権利付き最終売買日。上場企業の配当額が過去最高となるなか、株価が下がっているので配当取りの妙味が高まっていることは相場の下支えになるだろう。

28日には18年度予算案が成立の見込み。そのタイミングで麻生財務大臣の辞任があるかが気懸りな点だ。

海外投資家は3月第2週(12~16日)に10週連続で日本株を売り越した。この間の累計売越額は8兆1832億円に達し、連続売越額の合計としては過去最大。10週連続で売り越しとなるのは、原油安で投資家心理が悪化した2016年1~3月の11週以来の長さとなった。しかし、売り越し額そのものは前週より減少しており、売り圧力もピークアウトした感がある。売るだけ売ってしまったということだろう。新年度入りで機関投資家の需給も改善する。貿易戦争の懸念は燻るが、今週はいったん底入れを模索するような相場展開を期待したい。

再びセンチメントが悪化すれば日経平均2万円割れを試す場面もあるかもしれないが、あっても一瞬のことだろう。

予想レンジは2万円~2万1000円としたい。

広木隆(ひろき・たかし)
マネックス証券 チーフ・ストラテジスト

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