テクニカルでは105.30円を上抜けたことでドル円は106.80円付近を窺う展開か!?

FXプライム,高野やすのり,市況解説
(画像=PIXTA)

注目材料である米国の貿易戦争、そして日本の佐川氏の証人喚問、この2点がリスク要因として双璧となっていましたが、前日の海外時間では米国の貿易戦争が、そして本日は佐川氏の証人喚問がリスク要因として回避できる可能性が高まったため、ドル円などのクロス円は上昇しやすい状況になっています。このまま、午後の参議院での証人喚問も無風通過するようであれば、これまで売られ過ぎていたドル円などは大きく買い戻しの動きとなるのではないでしょうか。

今後の見通し

日経平均株価の上昇に加え、リスク要因であった元財務省理財局長・佐川氏の証人喚問で「書き換え、官房や官邸からの指示はない」と述べたこともあり、目先はリスク回避の巻き戻しの動きが強まりそうです。午後からは参議院での証人喚問が控えているものの、午前からの発言内容から大きく変わることはないと考えられるため、一旦リスクイベントは無難にこなしたという反応がマーケットでは見られるのではないでしょうか。

米国のリスク要因であった貿易戦争についても、引き続き米国の通商政策や中国との関係に関するヘッドラインに対して為替は敏感な状態が続いているものの、前日のナバロ国家通商会議(NTC)委員長発言もあり、比較的楽観論が強まっています。105.30円のテクニカルポイントを上抜けていることも考えると、105円台前半まで押し目があった場合については、買い戦略に妙味があるのではないでしょうか。

本日の東京時間については、元財務省理財局長・佐川氏の証人喚問において、安倍首相及び夫人の関与の可能性が示唆されるか発言が懸念されていたものの、佐川氏が書き換えたということで決着に向かう可能性が高く、若干リスク選好の動きになっています。

105.30円を上抜けたことでドル円は基調変更と捉え、今度は105.30円での押し目買いを想定

106.40円のドル売り円買いのポジションは、利食いの逆指値である105.30円で手仕舞です。105.30円が分岐点として考えられていたこともあり、今度は105.30円付近まで引き付けての押し目買いを想定しています。

昨日の海外市場動向

昨日の海外市場では、米中が貿易に関する交渉を優先するとの報道が相次ぎ、貿易戦争への懸念が和らぎ、米国株が急反発したことを受け、ドル円を中心としたクロス円が反発する動きとなりました。さらに、ナバロ国家通商会議(NTC)委員長がNAFTA交渉に対して楽観的な姿勢を見せたほか、「米国は中国と交渉のテーブルに付いている」と発言したことを受け、ドル円は105.20円台まで上昇し、ユーロ円も130.80円台まで上げ幅を拡大しました。

ユーロに関しては、バイトマン・独連銀総裁が、「ECBは政策正常化を早急に開始すべき」「2019年半ばの利上げ開始、非現実的ではない」と発言したこともあり、ユーロの下値を支える動きとなりました。また、トランプ大統領がスパイと考えられるロシア外交官に対する国外退去を命じEUとカナダと協調した事を受け、ユーロはもう一段高となり、ユーロドルでは1.2460ドル台まで上値を拡大しました。

今日の予定

本日は、イベントとしては9:30から衆議院、14:00から参議院で元財務省理財局長・佐川氏の衆参両院での証人喚問が予定されており、経済指標では、ユーロ圏・3月業況判断指数、米・1月S&P/ケースシラー住宅価格指数、米・3月CB消費者信頼感指数などが予定されています。要人発言では、ノボトニー・オーストリア中銀総裁、ボスティック・アトランタ連銀総裁が発言予定です。

(提供:FXプライムbyGMO)

高野やすのり
慶應義塾大学卒。チェース・マンハッタン銀行(現J.P.モルガン・チェース銀行)、スイス・ユニオン銀行(現UBS銀行)などでインターバンクディーラー業務等に従事。現、(株)FXプライムbyGMOお客様コンサルタント。Twitterでも情報発信中 高野やすのり@takano_fxp