昨日の海外時間には、発表された米経済指標が予想を下回ったことと、中国による報復措置を嫌気してNYダウが下落する中リスク回避の動きで円買いが強まりました。

今後の見通し

FXプライム,高野やすのり,市況解説
(画像=PIXTA)

NY時間に発表された米・3月ISM製造業景況指数が予想を下回ってドルが売られ始めたあと、昨日の東京時間にはほとんど反応しなかった、中国の報復関税の報道が意識されてリスク回避の動きで円買いが強まりました。ホワイトハウスは中国の措置に対し「公正に取引されている米輸出品を標的にすべきではない」と主張していますが、中国側はあくまでもアメリカの追加関税措置に対抗する構えのため、今後もアメリカの追加措置に対して、再び中国も追加措置を決定するなどエスカレートするリスクがあります。その場合、株式市場の下落からリスク回避がさらに強まって円買いが強まると考えられます。政治的な話題のため、予想をすることが困難ですが、一旦はドル買い円売りは控えるべきと考えます。

ドル円104円台の可能性で戻り売り

先週105.30円で作ったドル円のロングは106.00円で利食いました。今後米長期金利が一段と低下して円買いが強まることが考えられるため、ドル円で106.10円付近までの戻りがあればドル売り円買いのポジションを作ります。損切りラインを106.40円上抜けに置き、104円台での利食いを目指します。

昨日の海外時間からの流れ

欧州時間は、ほとんどの市場がイースター・マンデーで休場となる中各通貨ペアとも小動きに終始し、ドル円は106.20円台を中心とした非常に狭いレンジ内の取引となりました。

NY時間にはいると、発表された米・3月ISM製造業景況指数が予想を下回ったことに加え、中国がアメリカの輸入制限措置への報復として、2日からアメリカ産の果物やワインなど120品目に15%、豚肉など8品目に25%の関税を上乗せする、としたことが嫌気され、リスク回避の動きが強まりました。NYダウを始め各国株価が下落し、米長期金利が低下して、円買い、ドル買いが強まって、ドル円は105.90円台まで、ユーロ円は130.10円台まで、ユーロドルも1.2280台まで下落しました。

NY時間午後に米長期金利が一段と低下するとドル売りが優勢となって、ドル円は105.60円台まで下落幅を拡大した一方、ユーロドルは1.2300台に反発しました。

東京時間にはいって、再びドル売りが強まる場面もありましたが、日経平均が下げ幅を縮小してやや円が売り戻されています。

今日の予定

今日の海外時間には独・2月小売売上高指数、ユーロ圏・3月製造業PMI(確報値)、英・3月製造業PMIの発表があるほか、カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁、ブレイナード・米FRB理事の講演が予定されています。

(提供:FXプライムbyGMO)

高野やすのり
慶應義塾大学卒。チェース・マンハッタン銀行(現J.P.モルガン・チェース銀行)、スイス・ユニオン銀行(現UBS銀行)などでインターバンクディーラー業務等に従事。現、(株)FXプライムbyGMOお客様コンサルタント。Twitterでも情報発信中 高野やすのり@takano_fxp