「団塊の世代が70歳を迎え、日本の中小企業の66%が後継者がいない。このままでは日本から127万社が消え、500万人が失業。GDPから22兆円が消えるという衝撃的なデータもある。実際、日本では毎年3万社が廃業しており、これは倒産社数の3倍。企業の解散・清算が急増しており、このままでは地方経済が崩壊する」――。

日本M&Aセンターの三宅卓社長は4月10日、東京・丸の内の同社本社セミナールームで開いたアンドビズ株式会社設立の会見でこのように切り出した。 (経済ジャーナリスト 丸山隆平)

「M&Aという手法の啓もう、情報が不足している」

M&A,事業承継,廃業,後継者問題
代表取締役の大山氏(画像=筆者)

75金融機関・732会計事務所と“協働”で地域経済に資することを目的に4月5日付で設立されたアンドビズ株式会社(&Biz)。年商数千万円~1億円規模の小規模企業事業者を対象に、どこでもいつでも手軽に事業の引継ぎを実現するネットを活用したサービス「&Biz」を展開する。代表取締役は日本M&Aセンター常務取締役総合企画本部長の大山敬義氏が就任した。

&Bizの大山敬義代表は、これまで小規模企業のM&Aが難しかった理由について「そもそも経営をバトンタッチするM&Aという手法について啓もう、情報が不足しており、普及していなかったことが第一」と指摘する。

また「情報量やマッチングノウハウが不足しており案件があってもマッチングが成立しない」「地元に実務経験、ノウハウのある専門家が不在でたとえマッチングしても成約しない」「地元に事業承継・M&Aの実務経験者がいない。専門家が勉強し、実践する機会が地方にはない」「東京にいる高度な専門家は地方小企業にとってはオーバースペック。ノウハウのある専門家は当然フィーも高額で手が出ない」――ことを指摘する。   「&Biz」は従来の欠点を補った小規模企業に特化したM&Aマッチングサービス。2014年から開始、すでに全国で110件以上の成約実績があるという。今回これをさらにブラッシュアップし、全国の地方銀行、信用金庫など75行庫、税理士・公認会計士732事務所、弁護士・中小企業診断士・司法書士、商工会議所、行政サービス機関など800のパートナーととともに正式スタートし、全国で展開する。

「&Biz」は誰でも使える、自分で相手を探せるオープンな案件情報プラットフォームでネットとリアルを融合し、オンラインマッチング×全国M&A専門家網×成功ノウハウの仕組みを実現している。使用料は譲渡事業者・譲受事業者ともに無料。成功報酬は譲渡事業者は無料、譲受事業者は売買価格の5%。(専門家・アドバイザーにかかる費用は別途)

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記者会見であいさつした日本M&Aセンター三宅社長(左から2人目)、&Bizの大山社長(中央)ら関係者(画像=筆者)

記者会見では75金融機関と732会計事務所を代表し、四国銀行法人サポート部長の伊東瑞文氏、碧海信用金庫執行役員法人営業部長の鈴木禎人氏、日本M&A協会理事長でIG会計グループ代表の岩永經世氏から地方創生のための取り組みも紹介された。