経営者にとって大きな課題の一つに挙げられるのが事業承継です。事業承継によって発生するトラブルを最小限に抑えながら経営を安定させるために、優秀な第三者を後継者に選任するなどさまざまな経営戦略が練られています。しかし、事業承継の対策を行っておらず、経営者に万一の事態が発生した場合には、会社経営に大きなトラブルが生じてしまう可能性もあります。そのため、事業承継でトラブルが起きないようにするために、経営者は現状を把握し、対策を講じなければなりません。

事業承継トラブルとは

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(画像=PIXTA)

事業承継とは事業を行っている会社の代表が事業を親族や第三者に引き渡すことを言います。会社経営は、雇用契約や取引先との契約などさまざまな契約関係の下に成り立っています。そのため、後継者に引継がうまくいかなかった場合、取引先や会社の中でトラブルが生じやすくなります。

事業承継を検討する時、まずは会社の現状を把握することから始めます。会社の財務状況や将来の収益の見込み、経営者の個人の資産状況も含めて確認します。特に、経営者が会社に融資している個人資産、担保となっているものの有無を事前に確認しておかなければなりません。

また、後継者を独断で決めてしまうと、社内の理解を得ることができず事業の継続に支障をきたす場合もあります。事業承継を円滑に進めるためには、事業承継する前の経営者が会社の現状を把握するだけではなく、後継者選任に対して不協和音が生じないよう、社内の声に耳を傾けなければなりません。では、事業承継によって発生しうるトラブルを項目別に見ていきましょう。

事業承継トラブル・会社編

会社における事業承継のトラブルのひとつに、後継者の経験や知識不足やそれに伴う社内外の関係者から事業承継の理解を得られないことがあります。経営者と後継者との間に経験や知識の差が大きければ大きいほど、事業承継に対する不安が増すことから信頼を得られなくなります。

そうすれば、仕事の受注や金融機関からの融資への影響、社員の離脱など経営に何らかのトラブルが生じてしまいます。その不安を払拭するためにも、まずは後継者に対して財務・法務を含めた経営に関する知識や経営に必要な経験を積ませることで、社内外からの信頼を獲得する必要があるでしょう。

事業承継トラブル・相続編

相続における事業承継の場合には、後継者の税負担が大きくなってしまうことによる納税のトラブルや複数の相続人がいる場合のトラブルなどが挙げられます。

会社の経営権を後継者に集中させて事業承継を円滑に行うために、株式譲渡を行う場合がありますが、トラブルを回避するためにも事前に株式譲渡によって発生する税負担額の確認を行っておかなければなりません。税負担額が大きくなりそうな場合には、納税対策として相続時精算課税制度の利用などを検討しておくことが、事業承継を円滑に行う上で重要になってくるでしょう。

親族譲渡などで相続人が複数いる場合には、誰が正式な後継者になるのかをあらかじめ決定しておく必要があります。事前に後継者に権限を集中できるような状況を作るために、資産の移動や遺言の作成など自分の意思表示を行っておくことで相続紛争によるトラブルを回避することができるでしょう。

いずれくる事業承継に備えて現状把握と対策を

事業承継をスムーズに行うためには、まず経営者が事業承継において発生する可能性のあるトラブルに対する危機意識を持ち、現在の状況を確認するところから始めます。焦らずに知識を得て、ステップを踏んでいかなければなりません。そのためには、スケジュールを立て、後継者の選定時期から経営やノウハウ、取引先などへの挨拶回りの時期を見定める必要があります。

また、目先の事業承継の有無にかかわらず、周囲に迷惑がかからないように万一に備えた対策を行い、トラブルに対する未然防止を意識した経営を心がけておくとよいでしょう。(提供:企業オーナーonline


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