あなたは「サイコパス」と聞くとどのようなイメージを持っているだろうか。「血も涙もない大量殺人鬼」「血の通っていないブラック企業経営者」などと思っているならば、今回は新しいサイコパスの考え方に触れていって欲しい。

サイコパス,経営者
(画像=nito/Shutterstock.com)

サイコパス度が高い職業は?

『サイコパス 秘められた能力』の著者でイギリス・オックスフォード大学の心理学者ケヴィン・ダットン氏によると、サイコパス度合いが最も高い職業はCEO、つまり企業経営者であるといっている。また、その特徴的な気質を次のように挙げている。

・非情さ
・魅力
・一点集中力
・精神の強靭さ
・恐怖心の欠如
・マインドフルネス
・行動力

上記の内容を整理すると「チームプレーよりワンマンでの手腕が問われやすい職業につき、尚且つ冷静でリスクを恐れない行動力でビジネスの成果をあげている」人と言えるのではないだろうか。

経営者に求められるサイコパス気質

一般的なサラリーマンという立場では、必ずしも非情さや行動力が求められたり、リスクテイカーであったりする必要はない。むしろ、与えられたポジションの中で、周囲と協力し合いながら、期待される成果を期日通り着実にあげていく「行動力より実践力」が求められるだろう。

しかし、経営者という立場は仕事を与えられるのではなく「作り出す側」に立っている。必要なのは決められたタスクをこなす実践力ではなく、圧倒的な行動力だ。経営者はタスクを従業員に任せ、自らはとにかく行動力を発揮していく必要があるのだ。

他人の手が入っていないビジネスには、リスクとチャンスが埋まっている。そこへ手を出すには氷のような冷たい冷静さと、積極的なリスクテイキング、圧倒的な集中力に加え、自分のビジョンを他者に伝える魅力を備えなければいけない。つまり、サイコパスが経営者になっているというより、経営者にはサイコパス的な気質が求められるということだ。

ビジネスによって求められる経営者気質は様々だが、リスクテイカー、冷静さ、行動力という要素は、多くのシーンにおいてプラスの寄与するのは言うまでもない。大衆を魅了し、優れたビジョンで人を惹きつけるカリスマ経営者は、一般的にはとても魅力的である反面、そこで働いている従業員にとっては「とんでもない経営者だ」と恐れられている話はよく聞くものだ。

サイコパス気質の経営者との出会い

筆者も過去にサイコパス気質の経営者とご縁を頂いたことがある。約2年間お付き合いをさせてもらったが、出会いからしてかなり強烈な人物(T氏)だった。

T氏は経営コンサルタントの職業についており、ネットマーケティングの一環としてブログ、YouTube、メルマガなどの媒体で情報を発信、それぞれ数万人の登録者を有していた。T氏はひと目見た時から普通ではなかった。いかにも大物人物という印象で「この人は常人ではなく、天才肌の人間だ」と魅了された。

一時期、コンサルティングサービスを申し込んでお世話になったことがある。T氏の見た目はとても情熱的で、人の話に同情して涙を流す様子を見せるような人だが、付き合ってみると、それは全て人を惹きつけるための演技だった。「ネットマーケティングは相手に勘違いさせる心理学だ」と笑っていたことにも驚かされた。自分や商品・サービスを魅力的に見せることにかけては天才的で、涙も情熱も人を惹きつけるツールと割り切り、ウソの涙を流せる演技力はまさに女優のようであった。

T氏は誰もやらないようなビジネス、例えば「朝に開店して、夕方に閉店する居酒屋」を手がけて圧倒的な成果を上げていた。ただ、新たなビジネスを立ち上げるとてつもない行動力を持っているのに、それを実践する力、チームワークなどは欠けていたように思う。おそらくサラリーマンを務めることは難しいだろう。

しかし、彼は成功者である。彼はアドバイスと行動力だけで十分成り立つビジネスに身を置き、そして稼いでいた。ワンマンプレーが通用する「経営コンサルタントのオーナー」という職業は、彼の気質に合致していたと言えるだろう。実際、筆者はT氏のアドバイスのおかげで、あるビジネスが大きく拡大した。

サイコパス=社会不適合者ではない

サイコパスみんなが社会不適合者というわけではない。彼らはサラリーマンには向いていないかも知れないが、条件が整えばものすごい手腕を発揮できるケースもある。むしろ成功する経営者にはサイコパス気質の人が多いと思うほどである。(黒坂岳央、高級フルーツギフトショップ「水菓子肥後庵」代表)