「お金で幸せが買える・買えない」はくり返し議論されてきた永遠のテーマだ。お金で幸せが買えるかどうかはともかく、「幸せだとお金が増える」法則は存在するとの研究や調査が存在する。
幸福について研究している専門家らによって、幸福と成功の密接な関係が明らかになりつつある。
幸福と成功の密接な関係
「幸せだとお金が増える」という理論は、幸福感が精神的な安定をもたらし、創造性や生産力アップした結果、成功する=お金が増えるというものだ。
幸福研究所「グッド・シンキング」 の共同設立者兼CEOで、“Big Potential”などの著書があるショーン・エイカー氏いわく、ポジティブな状態の時は脳に脅威を感じさせる信号が送られず、代わりに創造的・生産的になれる物質が分泌される。体中にエネルギーが満ちあふれ、記憶力や生産力が大幅にアップする。
ウォーリック大学と英シンクタンク、ソーシャル・マーケット・ファウンデーションが2015年に実施した調査では、幸福感が仕事の生産性を12%向上させるとの結果が報告されている(USニュース2018年3月19日付記事)。
その結果、学校や会社で予想以上の成績を上げることが可能になる。成績が上がれば成功し、お金が増える。つまり「成功しているから幸せでお金がある」のではなく、「幸せだから成功してお金が増える。成功するからさらに幸せになってお金が増える」という正のループなのだ。
幸せだとお金が増える5つの理由
様々なお金を増やす方法を試してみたにも関わらず、「どうしてもお金が増えない」という人は、外部からの要因だけではなく、自分の内面にお金が増えないバリアがはりめぐらされていないか、冷静に観察してみてはどうだろう。
まずは専門家の意見から、幸福がお金を増やすことにどのように貢献してくれるのかを理解しよう。
1.お金の使い方・増やし方に賢くなる
充実した毎日を送っている幸せな人は支出から貯蓄、投資まで、明確な判断を下すことができる。使うべきところで使い、貯めるべきところは貯める。お金の増やし方にも慎重なので、怪しい投資商品に飛びついて失敗するということも少ない。
2.所得が増える
幸せな人は自分の仕事にやり甲斐を感じている。それが好業績や職場仲間との協調性につながり、タスクやゴールを達成する傾向が強い。欠勤も少なく、チャレンジにも積極的に取り組むため昇進しやすい。この点に関しては、コネチカット州の臨床心理士クリスティーナ・ハレット氏も「幸せな人は集中力が高く、チャレンジ精神が旺盛」と同意している。
また投資や起業に積極的かつ効率的に挑む人も幸せな人が多い。人間は幸福感で満たされているとポジティブな精神が外見や言動に現れるだけではなく、人間関係も上手くいきやすい。それゆえに「一緒に仕事をしたい」と望む人々が寄って来るため、良い投資話や起業のチャンスが生まれる環境に恵まれやすい。
3.浪費が減る
前述したように、幸せな人はお金の使い方が上手い。ストレスで浪費に走ったり、余計なものを買って後悔することも少ない。お得情報サイト「スリックディールズ」が2018年2月21日に発表した調査 によると、調査に協力した米成人2000人の毎月の浪費額は平均450ドル。年間5400ドル、生涯32.4万ドルを無駄遣いしているという。極端にいうと家を1軒買えるだけのお金を、衝動買いに浪費しているのだ。これではお金が増えるはずがない。
4.お金についてパートナーとオープンに話し合うことができる
「お金のことはパートナーと話し合いたくない」「お金の話で口論になる」などどいう人も多いだろう。しかし話の内容が負債であれ、相手の浪費癖であれ、避けているだけでは何なにも解決しない。お金が増えない原因になっている問題があるのならば、パートナーの協力を得る努力をすることで、ポジティブな結果につながるかもしれない。
家族・人間関係心理療法士で、テレビ番組の司会を務めた経験もあるフラン・ヴァルフィッシュ博士 は、難しい話し合いから最良の結果を引き出したいのであれば「笑顔とポジティブな姿勢」が重要だという。感情的になって問題をさらに大きくするのではなく、解決にむけて前向きに話し合い、協力を求めるアプローチをとろう。
5.医療費が減る
幸福感は物質的経済効果だけではなく、肉体的・精神的経済効果ももたらす。「ストレスは万病の素」という言葉通り、健全な精神が免疫力を高めてくれると言うのは、ストレス研究の権威、カーネギーメロン大学のシェルドン・コーエン教授だ。一般的に、ストレスを抱えていると健康的な生活や神経ホルモン系の変化によって、疾病リスクが高くなるそうだ。
「健康に勝る財産はない」ともいうが、健康ならば医療費が大幅に節約できる。健康はさらなる財産作りに貢献してくれる。
シンプルな理由ではあるが、実際に「幸福と成功の法則」を実践できているとかと聞かれると、耳が痛い人も多いのではないだろうか。だからこそ、お金を増やすのは大変なのかもしれない。(アレン・琴子、英国在住フリーランスライター)