マイナス金利政策が続き、銀行預金では資産がほとんど増えない状況の中、少しでも高い利回りが見込める金融商品として「不動産小口化商品」に注目が集まっている。あまり聞き慣れない商品だが、どのようなものだろうか。メリットやJ-REITとの違いも含めて解説していく。

不動産投資は魅力的だが、リスクも高い

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(写真=Freedomz/Shutterstock.com)

マイナス金利下では、銀行に定期預金をしたとしてもほとんど利息は付かないため、投資家は少しでも利回りの高い金融資産へと資金をシフトさせている。その一つが不動産だ。不動産投資であれば、物件や規模によって差はあるが、低くても5%前後、高い場合では10%以上の利回りを確保できるケースもある。

しかし問題は投下資金が大きくなるという点だ。物件を購入するには、都心部の中古区分マンションであっても1,000万円以上、1棟物件であれば数千万円から数億円以上の資金が必要になる。不動産投資は気になるが、初期投資がかかりすぎて手が出ないという人も多いだろう。

また物件選びには目利きが欠かせない。物件情報に書かれた想定利回りがいくら高くても、実際に買ってみたら供給過多の立地で入居者がなかなか決まらなかったり、想定外の修繕が多発して収益を圧迫したりして、想定通りの利回りを得られないことは多い。つまり、目利きができなければハズレをつかむリスクが高いのだ。さらに購入後には管理・運営の手間がかかり、これを煩わしく感じる人も多い。

そこで、不動産投資の高利回りというメリットを生かしつつ、リスクを抑える商品として活用できるのが「不動産小口化商品」だ。

不動産小口化商品のメリット・デメリットは?

不動産小口化商品とは、多くの投資家から資金を集めて、その資金で特定の不動産を購入し、その不動産から得られる家賃収入を投資家に分配する仕組みの金融商品だ。実物不動産を購入する場合と比べて多くのメリットがある。

メリット1,少ない資金で不動産投資が可能に
数億円もする高額な物件に対しても、不動産小口化商品であれば、1人1人の投資家は少ない資金で投資が行える。投資額は一般的に1口100万円程度からが多いが、なかには1口1万円という商品もあり、手軽に始めることができる。複数の小口化商品に投資することで、リスク分散効果も期待できる。

メリット2,高利回りの投資が可能
実物不動産を投資対象とするので、定期預金や国債、株式などと比べて、おおむね高い利回りが期待できる。

メリット3,購入後の管理の手間がない
購入後の物件の管理・運用は、不動産特定共同事業者として都道府県知事の許可を受けた不動産事業者が行う。つまりプロが管理・運営をするので、投資家の手間はない。

メリット4,相続・事業承継に適している
相続税の計算上、不動産の評価額は実勢価格よりも大幅に圧縮できる。この仕組みを生かして、不動産小口化商品を相続財産として残すことで、相続税の負担を軽減しながら、資産を円滑に引き継ぐことが可能となる。

デメリット1,一般的に流動性が低い
少ない元手で不動産に投資する商品としてはJ-REIT(不動産投資信託)がある。J-REITは証券取引所に上場されているので、株式と同様に売買できる。市場規模が大きく、いつでも換金できるという点で流動性は非常に高い。一方、不動産小口化商品は、いつでもすぐに売却できるとは限らず流動性は低いといえる。ただし商品によっては、売却や贈与が容易にできるものもある。

デメリット2,商品選択の幅が狭い
これもJ-REITとの比較になるが、J-REITには住宅型、商業型、ホテル型、複合型などさまざまな商品がラインナップされている。一方、不動産小口化商品は、取り扱っている事業者が限られているため、選択肢はそう多くはない。

都心の好立地オフィスを対象とした小口化商品もある

昨今注目が集まる不動産小口化商品として、ボルテックスの「Vシェア」が挙げられる。個人では規模が大きすぎて投資できない、都心商業地に立地する中規模オフィスビルを小口化したもので、資産価値や収益の安定性に強みがある。

不動産小口化商品はまだまだ新しい商品であり、「知る人ぞ知る投資」といえるかもしれない。上記のようなメリット・デメリットをよく理解したうえで、選択肢に加えてみるのもいいだろう。(提供:百計ONLINE


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