RIZAPグループが2018年6月より、元カルビーの松本晃氏を最高執行責任者(COO)として招へいするというニュースは、業界を震撼させた。松本氏といえば、ジョンソン・エンド・ジョンソンの社長を務めた後、2009年にカルビーの社長に就任し、カルビーを右肩あがりで成長させてきた、いわば「プロ経営者」だ。そんな大物をスカウトしたRIZAPグループの狙いはなんだろうか。

RIZAPに集まる大物たち

ライザップ
(画像=Panumas Yanuthai/Shutterstock.com)

松本氏の招へいの発表は、瞬く間にビジネスシーンを駆け巡った。それほどまでに松本氏は優秀な経営者として知られているのだ。この人事発表は、RIZAPグループのさらなる成長を予感させるものだった。

RIZAPの経営陣の面々を見てみると、松本氏だけではなく各所から大物をスカウトしていることがわかる。取締役としては、スタイライフ元社長の岩本眞二氏や、カルフールなどで活躍した森正人氏、ファーストリテイリング出身の岡田章二氏などを迎え、さらに2016年には、経営諮問委員として、東洋大学等の教授を務めるパソナグループ会長の竹中平蔵氏や一橋大学教授で伊藤レポートを作成した伊藤邦雄氏、フロンティアマネジメントの社長を務める松岡真宏氏など、豪華な面々がRIZAPグループの経営をサポートしている。

RIZAPグループはジムだけじゃない?

大物を続々と獲得しているRIZAPは、いったいどのような会社なのだろう。多くの人は「結果にコミットする」パーソナルジムの経営をしていると思っているかもしれない。しかし実は、今や多くの事業を手掛けるコングロマリット企業なのだ。

現在、RIZAPグループは傘下に30以上の企業を抱えている。事業を大きく健康・美容事業、アパレル事業、住関連ライフスタイル事業、エンターテイメント事業にわけており、健康・美容事業には、RIZAPの他に補正下着メーカーのマルコや、地域メディアを配布するぱどなど、アパレル事業では、ECを運営する夢展望やカジュアルチェーンを運営するジーンズメイトなどを傘下に収めている。住関連ライフスタイル事業には、インテリアを販売するイデアインターナショナルなどがある。

このように様々な事業を手掛け、売上高は2018年度で1000億円に到達している。2019年度の売上は2500億円を目指しており、さらに事業を拡大しようとしていることが伺える。我々が持つジムのイメージを大きく超え、美容や健康、ライフスタイルのトータルカンパニーに成長しているのだ。

今後のRIZAPグループの狙いは?

躍進を続けるRIZAPグループだが、彼らはどのような方向性を目指しているのだろうか。

RIZAPグループが策定したCOMMIT2020によると、2021年までの目標金額は売上高3000億円である。しかしRIZAPグループCEOの瀬戸氏は、松本氏を招へいした時のインタビューで、「売上のケタを変える」と発言しており、ゆくゆくは1兆円企業を目指していることが伺える。

2021年までの同社の戦略の柱は「医療分野への進出」「海外への本格進出」「経営基盤のさらなる強化」となっている。このうち、医療分野への進出や海外への進出というのは、いわば不連続な成長であり、新しいチャレンジが求められるといえる。新しいチャレンジを行うには、既存の人材でなく新しい人材を活用することは常套手段であり、外資系企業のヘルスケアカンパニーで手腕を振るった松本氏は、同社の成長戦略にぴったりな人材なのではないだろうか。

拡大するRIZAPグループの今後に注目

RIZAPグループCEOの瀬戸氏は40歳とまだ若く、今後も意欲的に事業拡大していくだろう。同社がCOMMIT2020にあるように医療分野や海外に進出し、巨大なコングロマリットを築いていけるのか。RIZAPグループの今後に注目が集まるのは間違いない。(ZUU online 編集部)