金曜日の海外時間には、前日に続いてトランプ大統領が再びFRBの利上げと、ドル高に対する不満を表明したことからドル売りが強まりました。また中国に対する追加関税問題に関して「5000億の用意がある」と述べたこともあってリスク回避の円買いが強まって、ドル円は7月11日以来の110円台まで下落しています。
今後の見通し
トランプ大統領が、再びFRBによる金利引き上げと、ドル高に対する不満を表明しました。金曜日にも書きましたが、不満を口にすることはあっても、制度上の理由もあって実際にトランプ大統領の考えがFRBの金融政策に影響を与える可能性は低いと考えられ、実際に市場も利上げに関する発言では反応は限定的に留まっています。
一方人民元とユーロを名指しでドル高に対する不満を述べた(ツィート)したタイミングではドルが売られました。ムニューシン米財務長官は。「大統領に為替介入する意向は全くない」「強いドルは堅調な米経済を反映したもので長期的に国益にかなう」などとしていますが、市場では、トランプ大統領が実際に何かをする可能性は低いと見ている一方で、あえてドル買いポジションを持とうという雰囲気にはなりにくく、ドルが売られています。トランプ大統領の発言は不規則で予想しにくいものなので、当面はポジションを持ちにくい状況となりそうです。
ドル売り円買いのポジションをキープ
112.60円付近でのドル売りを考えていましたが、上がりきらずに金曜日安値からのサポート・ラインを割り込んできたことから112.25円でドル売りポジションを作りました。当初112.55円に損切りを設定していましたが、今朝111.25円に損切りラインを引き下げてもう一段安を狙っています。
海外時間からの流れ
欧州時間序盤、特段の材料もない中、各通貨ペアとも小動きが続きました。その後「日銀が、大規模な金融緩和策で「0%程度」としている長期金利の誘導目標の柔軟化を検討することが20日、分かった。一定程度の金利上昇を容認する。金融機関の収益悪化や国債取引の低迷など 副作用を軽減しつつ、緩和長期化に備えるのが狙いだ。7月末に開催する金融政策決定会合で検討する」と一部で報じられましたが、当初は市場の反応は限定的でした。またトランプ大統領が「現在の引き締めはこれまでの努力全てを損なう」と述べましたが、やはり為替市場はあまり動きませんでした、
NY時間にかけて、ややドル売りが優勢となり始める中、トランプ大統領が「中国やEUなどは自国の通貨と金利を低い水準に操作してきた。一方で米国はドルが日々強さを増す中で利上げを続けており、われわれの大きな競争上の優位性を奪っている」とツィートすると、米金利が低下する中ドル売りが強まって、ドル円は111.50円台まで下落し、ユーロドルは1.1720台まで上昇しました。
NY時間引けにかけてドルは一段安となって、ドル円は111.30円台まで下落し、ユーロドルは1.1730台まで上昇しました。この間ユーロ円は130.50円台まで下落しています。
週明けの東京時間には、トランプ大統領が20日に中国との貿易戦争に関して「5000億の用意がある」と述べたこともあって、日経平均が下落する中円買いが優勢となっています。
今日の予定
今日の海外時間には、米・6月中古住宅販売件数の発表があるほか、ブロードベント・BOE副総裁の講演が予定されています。
(提供:FXプライムbyGMO)
高野やすのり
慶應義塾大学卒。チェース・マンハッタン銀行(現J.P.モルガン・チェース銀行)、スイス・ユニオン銀行(現UBS銀行)などでインターバンクディーラー業務等に従事。現、(株)FXプライムbyGMOお客様コンサルタント。Twitterでも情報発信中 高野やすのり@takano_fxp