「海外不動産を買うと大きな収益が得られる」という話を一度は聞いたことがあるかもしれません。しかし、「メリットやリスクがわからない」「どうやって買えばいいのか分からない」と手を出していない人も多いのではないでしょうか。この記事では、海外不動産投資の基礎知識や簡単な購入の方法、海外不動産会社の役割、リスクをおさえる方法などについて解説します。日本における不動産投資と比較してみましょう。

海外と日本 不動産投資のメリットを比較

man
(写真=TRAIMAK/Shutterstock.com)

海外不動産投資の収益は、日本国内における不動産投資とほぼ同じで、「インカムゲイン」と「キャピタルゲイン」の2つに分けられます。経験者には言うまでもないことですが、インカムゲインとは家賃収入のことを指し、キャピタルゲインとは不動産価格が上昇したときに売却して得られる値上がり益のことです。

海外不動産投資の一番のメリットといえるのが、国によってはこの2つの収益がどんどん高まることでしょう。例えば、アジアの新興国など経済成長が著しい国においては、国民の所得や物価の上昇に伴って住宅の家賃や不動産価値が上がっていきます。極端な話、成長が著しい国の人が集まるエリアで物件を買っておけばいいということです。

一方、日本は人口減少や経済成長の鈍化などにより、決して不動産投資の環境が良いとはいえないので、エリアを厳選する必要があります。この点を比較して、不動産投資をするなら国内より海外を選ぶ人が出てくるわけです。

デメリット、難しいところも比較すると……

もちろん、海外不動産投資にもデメリットがあります。その一つが、投資先として検討する海外不動産の情報が日本では得にくいことです。日本国内の場合、情報はほとんど日本語で得られますし、物件や物件の周辺地域の見学はしやすいでしょう。居住地と近ければ、一定の土地勘はあるはずです。この点、海外不動産に関しては情報が英語や現地の言語であったり、見学が難しかったりします。

海外の金融機関から融資を受ける場合、日本国内で相談するよりも融資を受けられる可能性が低くなります。さらには、金利も日本国内の金融機関よりも高い傾向です。このほかには、為替リスクや政治リスク、不動産規制などが発表されるリスクもあります。

個人で情報を集めるというのも一つの方法ですが、海外不動産投資を個人単位で行うのには手続き面でも高いハードルがあるのです。海外不動産会社が発信している情報をチェックすることも、現地の最新情報を得るためには良い手といえるでしょう。

海外不動産投資先の国・地域はどう選ぶ?

海外で物件を購入しようと思ったとき、「どこの国を投資先に選ぶか」は迷いどころでもあり、とても重要なことです。その国の先行きを見据えたうえで、「堅調な経済成長が続くのか」「経済成長の一層の加速が見込まれるのか」「経済成長が鈍化するのか」などを判断します。ある程度の予想を持って臨まなければ戦略的な海外不動産投資にはなりえません。

経済成長率の予測や過去のデータは、IMF(国際通貨基金)やOECD(経済協力開発機構)、世界銀行などが発表しています。また、各国の不動産価格の上昇率や住宅の空室率も重要なデータです。人口の増加率や各国の最新ニュースなどもチェックしましょう。

IMFやOECDなどWebサイトに毎日アクセスして最新情報を探すようなことは現実的ではありません。しかし、投資を始める段階で集中的に情報を集めて、自分なりに各国を比較・評価できるくらいのリテラシーを持つことが必要です。また、新聞やニュースサイトに出てくる投資対象国の情報には敏感になりましょう。

海外不動産の簡単な購入方法と購入の仕組み

海外不動産を購入するためには、日本国外の不動産を取り扱っている日本の海外不動産会社を利用したり、資産運用のコンサルティング企業に問い合わせをしたりするのが最も簡単な方法です。海外不動産会社などが主催する高所得者向けの海外不動産セミナーに参加して、「自分なりに知識を増やす」「感覚を磨く」ということも一つの方法でしょう。

日本の海外不動産会社を利用した場合、「どのような投資物件があるか」について担当者から説明を受けます。最終的に購入・保有する不動産物件が決まったら売り主と売買契約を結びましょう。手付け金や物件代金の残金、登録手数料、仲介手数料、管理委託手数料などの支払いを経て、物件を購入することになります。

海外不動産の場合は、管理を購入者本人が自ら行うことが難しいので、日本の会社経由で現地の管理会社や現地パートナーに委託するケースとなることも多い傾向です。その場合、その海外不動産会社が選ぶ委託先の集客や管理能力の差によって、インカムゲイン(家賃収入)が変わってきます。結果的に良い委託先に任せるためにも、その海外不動産会社が不動産投資先の国で「どれだけの実績があるのか」を調べることも投資成功の一つのポイントです。

自ら情報のアンテナを張り、よい海外不動産会社選びを

「海外不動産投資には何となく興味があるけど、よくわからない」という人は多いでしょう。海外不動産投資にも、国内のそれと同様、メリットもあればデメリットもあります。日本で不動産投資をしたことがある人と、まったくの未経験者では準備段階で行うことや、得るべき情報は違います。

経済成長の著しい国・地域に投資することで、利益を出しやすくはなるでしょう。しかし、投資には絶対はありませんし、成長している国ならどんな物件を買っても儲かるというわけではありません。現地の最新情報を知るように努めると同時に、相談のできる良い不動産会社を見つけることが、成功への一つの近道であるといえるでしょう。(岡本一道、金融・経済ジャーナリスト / d.folio

【オススメ記事 d.folio】
アーリーリタイアメントを実現するための4つのTo Do
医院の承継を考えている歯科医師が準備しておくべき節税
不動産投資コンサルより資産運用コンサルがいい理由
不動産投資をするなら知っておきたい団信の落とし穴
「もしも」に備えた対策にマンション投資