国土交通省は、定時運航率・遅延率・欠航率など国内航空輸送に関する情報(航空会社別)を、4半期ベースで公表している。

今年4月のリリース結果によると、特定航空運送事業者12社(客席数100以上の航空機を運航する航空会社)の遅延率(15分以上遅れて出発・到着した割合)は11.95%(前年差▲0.04ポイント)、欠航率は1.35%(前年差▲0.11ポイント)だった。

国内便はスカイマークが1位を獲得

航空会社,空港
(画像=WorldStock/Shutterstock.com)

平成29年度上期で遅延率が最も低かったのはスカイマークの7.41%で、前年同期の9.75%より大幅に改善した。日本航空(7.51%)、AIRDO(8.43%)、スターフライヤー(8.75%)が続く。全日空は10.23%だ。LCCはPeach Aviation(19.65%)、バニラ・エア(17.45%)、春秋航空(15.76%)など近年抑制傾向にはあるものの、おしなべて高い。

遅延の原因は、天候や空路・空港の混雑など不可抗力もあるが、大部分を占めるのは「機体繰り」だ。

日本航空・全日空といったメガフラッグはフライトスケジュールに余裕を持たせ、予備機を配備して万が一に備えているが、LCCにその余裕はない。ただでさえ駐機時間が20分前後(メガフラッグは50分前後)と短いので、いったん狂いが生じると玉突きのように遅延が累積する。この結果、例えばPeach Aviationの場合、搭乗5回に1回は15分以上遅れることになり、ビジネスユースはもちろん観光としても不安が残る。

欠航については、春秋航空(3.35%)を除けば、いずれの航空会社も2%以下の水準にとどまる。とくに天候要因が平均で0.94%であることを考えると、欠航率は相当低い水準に抑え込まれている。

日本の定時運航は優秀

海外の航空会社と比較すると、日本のメガフラッグの優秀さが際立つ。フライトスタッツ社がリリースしている2016年の遅延率ランキングによると、日本航空は3位(12.20%)、全日空は6位(14.46%)にランキングされている。因みに1位はオランダのKLM(11.47%)、2位はスペインのイベリア航空(11.82%)だ。

次はワーストだが、3位はエア インディア(38.71%)、2位はアイスランド航空(41.05%)、そしてトップはエル・アル航空(56.00%)で、なんと2回に1回は遅延していることになる。 その他、ワースト10には、フィリピン航空(38.33%)、韓国のアシアナ航空(37.46%)、中国東方航空(35.80%)などアジア系がズラリと並ぶ。こうしたエアラインを利用せざるを得ない場合は、スケジュールの柔軟さと寛容の精神が欠かせない。

総合的なサービスで全日空が5つ星を獲得

顧客にとって最も大切なのは定時運航だが、他のサービスも気になるところだ。

全日空は、航空会社や空港のレーティング会社「SKYTRAX」の2018年国際空港評価において、6年連続で5スターを獲得した。5スターに選ばれるのは、定期旅客便を運航する747社のうちわずか9社だ。

「SKYTRAX」の審査対象は、機体(シートの快適性)、客室乗務員(応対・語学スキル)、機内サービス(機内食・アメニティ)、空港サービス(チェックイン・ラウンジ)などと幅広く800に及ぶ。審査では最新のプロダクト導入のみならず、スタッフのクオリティーが重視されており、全日空はこの点が高く評価された。

「SKYTRAX」の空港部門では、羽田空港が総合部門で第3位を獲得した。トップはシンガポールのチャンギ空港、2位は韓国の仁川空港だ。

この他でも羽田空港は、清潔さや快適性が高く評価され、クリーネスト部門においてトップに輝いた。

米ヘアヘルプ社の「2018年エアヘルプ・スコア」によるワースト空港も紹介しておこう。定時運航率とサービスの質、オンラインでの消費者評価を参考に141空港を対象にランク付けしたものだが、クウェート、ロンドン・スタンステッド、リヨン、オルリ、ストックホルム・ブロンマがワースト5に名を連ねた。ヨーロッパが意外と劣勢だ。

大切なのは地道な努力

航空会社が顧客から高い評価を獲得するには、どんな施策を打てばよいのだろうか?最も重要な定時運航で考察する。

飛行機の到着から出発までには、ボーディングブリッジ接続から始まり、機体整備、清掃、機内設営と非常に多くのセクションが係わり、綿密な連携が欠かせない。

日本のエアラインが定時運航で優秀な成績を残しているのは、こうした日常の運航において、コミュニケーションを中心とした円滑なオペレーションを心がけているからに他ならない。

顧客の支持を得るのに、特別なことはいらない。大切なのは地道な努力の継続なのだ。(ZUU online 編集部)