昨日の海外時間には、米政府が外国製自動車に対して追加関税を発動する、との報道などでリスク回避の円買いが強まりました。注目された米欧首脳会談では、貿易協議の開始、協議中の追加関税の保留、工業製品の関税撤廃を目指すことなどが決定され、一旦貿易戦争が停戦状態になる、との見方で各国株価が急騰しユーロ買い、円売りが強まりました。

今後の見通し

FXプライム,高野やすのり,市況解説
(画像=PIXTA)

前日にトランプ大統領が「貿易で米国を不当に扱ってきた国々は、公正な取引を交渉するか、関税の直撃を受けることになる」などとして強硬な態度が目立っていたことから注目されていた米欧首脳会談ですが、ひとまずは貿易協議を開始すること、協議を行っている間は新たな関税の導入をしないこと、自動車を除く工業製品の関税をゼロにすることを目指すこと、が決定したと発表されました。実質的に停戦状態にはいったと言えます。しかしながら自動車に関して大きな隔たりがあること、中国との協議では枠組みが示された数日後にはその枠組みを捨て追加関税を決定したこともあって、これで事態が解決に向かうと楽観することは難しいかもしれません。

111.30円のドル売りポジションを維持

111.30円のドル円のドル売りポジションを保有中です。昨日のNY時間の貿易戦争に関する報道に対する相場の反応を見ても、円買いの反応が強くでている感触がありますので、引き続き111.60円に損切りを置いて一段安を狙います。

海外時間からの流れ

欧州時間、発表された独・7月IFO景況指数がやや強い結果だったこともあってユーロドルは1.1700台まで上昇しました。一方ドル円は110.90円台まで軟化しました。

NY時間にはいってワシントンポスト紙が「米政府顧問、外国製自動車2000億ドル相当に25%の関税発動を予想」と報じたことからリスク回避の動きで円買い、ユーロ売りが強まって、ドル円は110.80円台まで、ユーロ円は129.40円付近まで、ユーロドルは1.1660台まで下落しました。

NY時間午後にはいって日経新聞が「日銀がETFの購入配分の見直しを検討する」と報じると再び円買いが優勢となって、ドル円は110.60円台まで下落幅を拡大しました。その後「一部米議員が自動車関税実施を遅らせる法案を提出へ」と報じられるとユーロの買い戻しが優勢となりました。そしてトランプ米大統領が「貿易戦争回避へEUの譲歩を確保」「ゼロ関税に向けて努力する事で合意」などと述べると貿易戦争回避との期待で各国株価が急上昇する中ユーロ買いと円売りが強まって、ユーロドルは1.1730台まで、ユーロ円は130.20円台まで、ドル円は111.00円台まで上昇しました。

東京時間にはいってからはやや円買いが優勢となっています。

今日の予定

今日の海外時間には、ECB理事会が行われ、ドラギECB総裁の会見があるほか、米・6月耐久財受注、米・新規失業保険申請件数の発表が予定されています。

(提供:FXプライムbyGMO)

高野やすのり
慶應義塾大学卒。チェース・マンハッタン銀行(現J.P.モルガン・チェース銀行)、スイス・ユニオン銀行(現UBS銀行)などでインターバンクディーラー業務等に従事。現、(株)FXプライムbyGMOお客様コンサルタント。Twitterでも情報発信中 高野やすのり@takano_fxp