1990年代のアメリカで銀行などが担保の不動産を売却する際、RTC(整理信託公社)主導で行われたのが「バルクセール」の始まりと言われている。安価物件を"大量一括"購入できるのが魅力だが、投資家にとってはリスクも多い。
玉石混淆の企業を見抜き、債権処理で多くの実績を上げる買収者・鷲津政彦の活躍を描いたのが木曜ドラマ『ハゲタカ』(テレビ朝日)だ。7月26日(木)午後9:00より放送される第2話のみどころを紹介していこう。
外資系投資ファンドを率いる伝説の企業買収者
日本の問題ある企業を買い漁る買収者と企業再生家との対決、そんなドラマがテレビ朝日でスタートした。原作は元新聞記者であった真山仁さんが2004年に発表した経済小説『ハゲタカ』だ。
綾野剛さん演じる鷲津政彦が外資系投資ファンドを率いて、不良債権を抱えた銀行や経営不振の名門企業などへと次々に買収劇を仕掛けていく。その手腕ややり方から"ハゲタカ"と蔑まれる鷲津だが、彼が戦う相手とは虚構に塗れ狡猾に秀でた銀行や経営者たちでもあるのだ。そんな日本の負債企業にどうして鷲津はこだわるのか、手に汗握る企業買収の攻防とともに彼の真意にも興味がわくだろう。
第2話のみどころ
三葉銀行がおこなったバルクセールから4年、銀行常務取締役となった飯島亮介(小林薫)の前に再び鷲津政彦(綾野剛)が現われる。今回鷲津が狙うのは、三葉銀行が債権を抱える日本有数の寝具メーカー・太陽ベッド。経営者一族による浪費や乱脈経営で480億円もの債務過多に陥った太陽ベッドを、鷲津はバイアウト(=買占め)しようと考えていたのだ。
飯島から300億円ほどの債権を40億円で譲り受けた鷲津は、太陽ベッドの経営陣らの撤退と民事再生法適用の申請を迫る。ところが創業者の娘で女社長・中森瑞恵(かたせ梨乃)から、鷲津は“薄汚い外資のハゲタカ”と罵しられ相手にもされない。
なんとしてもバイアウトしたいと考える鷲津は、瑞恵の息子で役員の伸彰(渡部豪太)たちが瑞恵社長を裏切るような動向に気付くと“ゴールデンパラシュート(=相手経営陣に報酬を渡し買収を認めさせる)”をチラつかせながら瑞恵ら経営陣へとプレッシャーをかけていく。
ところが、太陽ベッドが債権者である鷲津たちに無断で民事再生法を申請し、新たなスポンサーを競争入札で決めようとするのだが……。
豪華ゲストと当時の出来事がドラマを彩る
今回ゲスト出演は、プライドの高い女社長・中森瑞恵役のかたせ梨乃さん、その息子を渡部豪太さんが演じる。かたせさんといえば武将の妻や刑事役など、いわゆる"強く芯のある女性"を多く演じてきた人気女優。一方の渡部さんはやさしく甘いマスクの俳優で、現在NHK大河ドラマ『西郷どん』やCMなどでも活躍中だ。
第1話はバブル崩壊後の末期的な状況に陥った1997年が舞台だが、次回は4年後――2001年まで時計の針を進ませる。この年はITバブル崩壊によるIT需要の減少、アメリカの景気後退により日本の景気は再び悪化。日銀は「ゼロ金利政策」から「量的金融緩和」を導入した年だ。
ドラマの向こう側に見え隠れする当時の日本社会。それらをリンクさせながら視聴してみるのも、この『ハゲタカ』の面白さではないだろうか。(ZUU online 編集部)