日経平均予想レンジ22,400~22,949円

伊藤嘉洋,株式相場見通し
(画像=NothingIsEverything / Shutterstock.com)

今週は、米中貿易摩擦や円相場の行方など不透明要因が多い中、日経平均は3日続落から週初一時22,400円台を割り込んだ。その後はNYダウの続伸や主要企業の4-6月期決算発表への期待から業績好調銘柄の選別物色が強まり、週末は22,712円で終了した。

海外の焦点

注目のトランプ大統領とEUのユンケル欧州委員長との会談は、EUが米国産LNGと大豆の輸入を拡大するほか、双方が工業製品の関税を引き下げることで合意し、米EU間の貿易戦争回避を目指すことで合意した。トランプ大統領が輸入自動車の関税導入への意向を示して、高まっていた緊張が緩和されNYダウは2/27以来の高値水準25,587ドルまで買い進まれた。一方、米中貿易摩擦が一段とエスカレートする不安が強まっている。

トランプ大統領は大手メディアのインタビューで中国から輸入する5,000億ドル(約56兆円)相当の製品に制裁関税を課す可能性について「用意がある」と発言。これに対し中国は人民元に歯止めをかけようとしない。これは中国が米国による関税の影響を緩和させると同時に交渉の切り札として人民元を使う覚悟があるとの明確なシグナルの可能性が高い。ムニューシン米財務長官は人民元安を牽制し為替操作の兆候がないか注視していることを明らかにした。

国内の焦点

国内では4-6月期企業決算発表が本格化する。225採用銘柄の1株当り予想利益は足元では1,674円(7/26)。これに見合う日経平均の適正水準(PER14倍)は約23,400円付近なので22,600円処の日経平均の水準には割安感がある。今後の決算発表では111円台のドル円相場で2019年3月期の業績上方修正期待は高まるが第1四半期であることや貿易摩擦懸念が残る中では通期業績計画の修正に踏み切る企業は少ないと考えられる。ただ、113円台に向けての円安進行となるとEPSは1,700円台に上方修正され、一段と割安感が台頭する。23,000円抜けのきっかけとなるだけに企業業績に影響を与える為替相場からは目が離せない。

テクニカル面では、中長期移動平均線が22,300円付近に集結し煮詰まり感が指摘される。こうしたケースでは上下に放れる前兆と捉えられる。短期的には5日連続陰線や25日線が75日線を下抜けるデッドクロスが嫌気されるものの、ただ下げが強まったとしても75日線、200日線は上向いており、中長的には上昇トレンドを維持する可能性が考えられる。

来週の株式相場

以上、来週は米中貿易摩擦がエスカレートする中、本格化する企業決算発表での好業績株や業績見通しを上方修正する企業への個別物色人気は高まりそうだ。日経平均のレンジは7/18高値22,949円が意識され、下値は75日線22,400円付近が目処となろう。

伊藤嘉洋,株式相場見通し
(画像=岡三オンライン証券)

伊藤嘉洋
岡三オンライン証券 チーフストラテジスト