前週末の海外時間では、事前にトランプ米大統領、クドロー国家経済会議(NEC)委員長が4-6月期米GDP速報値の強い結果を示唆していたものの、前期比年率4.2%予想が4.1%になったことで失望売りが進んだ結果、ドル円は111.20円付近から110.80円付近まで下落しました。ただ、その後、トランプ大統領が「次の四半期の数字は飛び抜けたものとなるだろう」、クドローNEC委員長は「第3四半期や第4四半期の成長も非常に強くなる」などとすぐさまフォローを入れたこともあり、じりじりとドル円に買い戻しが入り、111円付近で週末を迎えました。
今週は、日銀政策決定会合を筆頭に重要イベントが目白押しとなっており、前週の経済指標などのイベントに関してはそれほどマーケットが興味を示していなかった可能性があります。東京時間に日銀が指値オペを実施しても影響は限定的であったことを考えると、ドル円の上値が重い状況には変わりありません。日銀が円高を容認するような戦略をとるようであれば、今週は狭いコアレンジ(110円‐112円)を抜けてくる可能性が高そうです。
今後の見通し
上述したように、日銀政策決定会合が今週のメインイベントとなりますが、その他にもFOMC、BOE金利、そして週末には米・雇用統計が控えています。焦点となる日銀政策決定会合ですが、事前の報道ではETFの購入銘柄シェアの変更や10年金利のターゲットからの変動幅の拡大を容認する可能性が取り沙汰されています。今回の注目点としては、金融緩和の副作用への対応になると考えられます。ただ、副作用を解消しようとすれば推し進めていた株高・円安戦略にヒビが入るのは違いないでしょうし、2%インフレ目標がある限り、一時的に政策の副作用が軽減されたとしても、根本的な解決には至らない可能性が高そうです。
可能性として金融政策決定会合で大きなサプライズがない事も想定されますが、日本の10年国債金利が10ベーシスポイントを超えて上昇する事を日銀が容認するリスクが高まっている点、さらには日米通商協議がこれから始まることを考えると、リスク回避の円買いという方向にバイアスがかかっていると考えていいのではないでしょうか。
111.15円でのドル円の売りポジションは継続
111.15-20円付近は前週末のGDP発表前の水準であると同時に東京時間に日銀が指値オペを行った時に上値が抑えられた水準でもあります。前週はボラティリティが低かったこともあり、明確なテクニカルポイントは見出しにくいのですが、111円前半の水準はある程度意識されているのではないでしょうか。完全に112円が上値目途として意識されていることもあり、逆指値の水準は111.85円、利食いの水準は109.50円と比較的広いレンジで勝負したいと思います。
海外時間からの流れ
前週末の海外市場については、米・第2四半期GDP(速報値)(前期比年率)が市場予想4.2%に対して4.1%になったことが意識されましたが、その後は今週のイベントが意識されたこともあり全ての通貨ペアが小動きに終始しました。本日の東京時間では、月末前日の5・10日(ゴトー日)とあって仲値にかけて買いが入ったものの、111.10円付近で上値が引き続き抑えられています。
今日の予定
本日は独・7月消費者物価指数(速報値)、米・6月中古住宅販売保留指数(前月比)などが予定されていますが、基本的には明日の日銀政策決定会合まで様子見の地合いが強まりそうです。
(提供:FXプライムbyGMO)
高野やすのり
慶應義塾大学卒。チェース・マンハッタン銀行(現J.P.モルガン・チェース銀行)、スイス・ユニオン銀行(現UBS銀行)などでインターバンクディーラー業務等に従事。現、(株)FXプライムbyGMOお客様コンサルタント。Twitterでも情報発信中 高野やすのり@takano_fxp