前日の海外時間では、本日のイベント待ちであることに加え、主要な経済指標も予定されていなかったことから、ほぼ動意のないマーケットになりました。ただ、ロス米商務長官がメキシコとのNAFTA再交渉が完了に近いとの見方を示したことでメキシコペソの上昇が際立ちました。

本日の東京時間正午に発表される日銀政策決定会合の声明では、おそらく既に報道があるように何かしらの変更がありそうですが、ある程度は織り込まれている可能性があります。円高一辺倒になると考えがちですが、円安方向に向かう可能性としては、直近で売り込まれた225採用銘柄などにはいったん買い戻しが入る可能性があることで後場の株式市場が反発し、連れるようにドル円などのクロス円も反発するかもしれません。また、日銀もマーケットの混乱を招かないよう、相当な配慮をすると想定されることから、マーケットが懸念している以上のものは出ず、材料出尽くしでの反発という線も可能性としては十分考えられそうです。

今後の見通し

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(画像=PIXTA)

本日の焦点としては、やはり日銀政策決定会合がメインとなりそうです。既に日銀が物価見通しを引き下げるのではないかとの見方が強まっており、同時に、長期化している金融緩和政策の副作用を考慮し、ETFの購入銘柄シェアの変更や10年金利のターゲットからの変動幅の拡大を容認する可能性が高いと考えられています。一見すると円高方向のみの材料に考えられますが、日銀が10年国債金利が10bpを上回る水準に上昇するのを容認するために、金融政策を変える必要はないとの見解を示すようであれば、声明文公表時は「金融政策変更無し」との報道が最初に流れる可能性があるため、ファーストアクションは円安に傾くかもしれないので注意が必要になりそうです。

また、上述したようにロス米商務長官がメキシコとのNAFTA再交渉が完了に近いとの見方を示したこともあり、メキシコペソを筆頭としたエマージング通貨、特に資源国通貨が買われやすい状況になっています。日銀の方針により円高方向に傾くマーケットになったとしても、本来であればもっとも売られやすいエマージング通貨ペアの下値は限定的となり、押し目買いのチャンスになるかもしれません。

111.15円でのドル円の売りポジションは継続

111.15-20円付近は日銀が指値オペを行った時に上値が抑えられた水準であり、引き続き意識される水準になりそうです。111.30円付近からストップロスがあるのではないかと言われていますが、今週は、FOMC、雇用統計と米国のイベントが目白押しとなっており、現状のマーケットの流れを大きく崩す可能性は低いと考えられます。本日の日銀政策決定会合次第で大きく局面が変わる可能性があるものの、現状は完全に112円が上値目途として意識されていることもあり、引き続き逆指値の水準は111.85円、利食いの水準は109.50円と比較的広いレンジで勝負したいと思います。

海外時間からの流れ

前日の海外市場については、本日予定されている日銀政策決定会合の結果待ちの動きが強く、動意に欠けるマーケットになりました。比較的堅調な動きを見せたのはユーロで、背景には独10年債利回りの上昇を受けたことが挙げられます。また、原油先物相場の上昇を背景にカナダドルが買われたことも特徴的でした。NY時間に入ると、ロス米商務長官が「NAFTA再交渉、特にメキシコについては完了に最も近い」と発言したことを背景に買いが強まり、一時5.990円(当社レート)と6円目前まで上昇しました。本日の東京時間も、引き続き日銀政策決定会合待ちとなりそうです。

今日の予定

本日は日銀金融政策決定会合、黒田・日銀総裁定例会見、トルコ・中央銀行インフレリポート、米・6月PCEコア・デフレータ、米・7月シカゴ購買部協会景気指数、米・7月CB消費者信頼感指数などが予定されており、ようやくマーケットが動意づきそうです。

(提供:FXプライムbyGMO)

高野やすのり
慶應義塾大学卒。チェース・マンハッタン銀行(現J.P.モルガン・チェース銀行)、スイス・ユニオン銀行(現UBS銀行)などでインターバンクディーラー業務等に従事。現、(株)FXプライムbyGMOお客様コンサルタント。Twitterでも情報発信中 高野やすのり@takano_fxp