スターバックスは、ブロックチェーンを活用した新プログラム「ビーン・トゥ・カップ」を導入すると発表しました。「ビーン・トゥ・カップ」は、農家から出荷されるコーヒー豆の生産から物流、消費までの情報をリアルタイムで追跡するというものです。追跡に使われているのは、仮想通貨などでもおなじみのブロックチェーン技術です。

そもそも同社はなぜ、ブロックチェーンを活用することになったのでしょうか?

ブロックチェーン技術でコーヒー豆の生産から消費までをリアルタイムで追跡

Starbucks
(画像= monticello/Shutterstock.com)

これまで同社では、コーヒー農家とは紙ベースで取引していました。スターバックスは取引しているコーヒー豆農家のほとんどを把握していますが、取引情報をリアルタイムで把握するのには時間がかかっていたのが現状でした。

そこで、コーヒー豆の生産段階から消費までの情報を追跡するトレーサービリティ(追跡可能性)を向上させるために採用したのが、ブロックチェーン技術です。

ブロックチェーン技術を利用するメリットは、セキュリティの高さや、過去の取引の記録を可視化できるところにあります。今や自動車や銀行業界など、幅広い業種でブロックチェーン技術を用いるようになりました。

スターバックスでは2年をかけて、ブロックチェーン技術を活用すると農家にどのような利益をもたらすか研究すると発表しています。

スターバックスが考える健全なコーヒーの世界 コーヒー農家の生産者は、その労働の過酷さと裏腹に利益が少ないと言われてきました。スターバックスでは生産者が置かれている状況を改善し、生産者にも利益が行き渡るようにしようと考えています。そうすれば、スターバックス側も高品質なコーヒー豆を持続的に供給でき、サービス自体の向上へとつながっていくと考えているようです。

コーヒー農家の半数は小規模農家で、豊富な資金のもと運営しているわけではありません。資金不足に陥り、コーヒー豆を安価でバイヤーに売ってしまうこともあります。

また、基本的にコーヒー豆のほとんどは市場に流通しており、価格が変動するリスクがあります。そこで同社では、生産者にも利益が行き渡るよう、マーケットを通さず契約を結び、品質に見合った価格でコーヒー豆を調達しています。

2015年までにスターバックスはその99パーセントを自社で調達しました。現在は調達先を把握できていない残りの1パーセントを発見しようと努力しています。

今回同社が発表したプログラムでは、コスタリカ、コロンビア、ルワンダの中から選ばれたコーヒー農家が協力するそう。コーヒー豆の流通情報をリアルタイムで共有し、小規模農家に与える効果を確かめています。

スターバックスの仮想通貨の開発も検討?

スターバックスの最高経営責任者ハワード・シュルツ氏は、決済アプリにもブロックチェーン技術を使う可能性があることを、出演した米ケーブルチャンネル「フォックス・ビジネス」で語っています。

シュルツ氏は、スターバックスの事業を推進していくためにはブロックチェーン技術の導入が重要だと 強調しました。新たに仮想通貨を開発することや、キャッシュレスで利用できる店舗の設置なども検討しているそうです。

よくある仮想通貨のように、「スターバックスコイン」のようなものが登場するかは分かりません。ただ、ブロックチェーン技術を活用してキャッシュレス化を推し進めれば、お店にとっても利用者にとっても利便性が良くなるかもしれません。

流通自体に大きなイノベーションが起きる可能性も

従来は、コーヒー豆の取引の多くが可視化されていませんでした。しかし、ブロックチェーンのような新しい技術を活用すれば、生産者のデータを蓄積できるようになります。消費者側から見ても、生産者やコーヒー豆の情報が可視化されれば、毎日コーヒーをおいしく飲めるようになります。

仮想通貨に用いているブロックチェーン技術はオープンソースです。コストさえかければ他のコーヒーチェーンも模倣はできるでしょう。今後、飲食業界の流通そのものに大きなイノベーションを起こす可能性も秘めています。(提供:J.Score Style


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