日経平均予想レンジ22,350~22,949円
今週は、予想を下回る米企業決算の失望から米国株が反落した流れを引き継ぎ、日経平均は一時22,352円まで売られる場面が見られた。その後、日銀金融政策決定会合を無事通過したことで安心感が広がり22,775円への自律反発を見せたものの、米中貿易摩擦再燃懸念から週末は22,525円で終了した。
海外の焦点
注目のFOMCは事前の予想通り政策金利の据え置きを決定した。声明文では米景気の判断について「強固なペースで拡大」と6月の「強いペース」から上方修正した。長期金利は3%に乗せ、利上げ加速に対する警戒感からダウ平均の重しとなった。7月のISM製造業景況指数は通商政策が影響し、58.1と3ヵ月ぶりの低水準となった。ISM製造業景況指数とダウ平均の連動性が高いことは注視しておきたい。
6月の指数は60.2と4月の57.3から大幅に伸び、相場上昇の一因となった。一方、2月の60.8から4月の大幅低下時にダウ平均が急反落した経緯があるだけに今後産業界が貿易摩擦の実害を懸念し始め、ISM製造業景況指数が更に低下する事態になれば、ダウ平均の反落リスクは大きいと見なければならない。
国内の焦点
日銀金融政策決定会合は大方の予想通り長期金利を「経済・物価情勢などに応じて上下にある程度変動しうるものとする」ことなどを決めた。市場では0~0.1%程度に抑えてきたが変動幅を広げ事実上金利の上昇を容認すると受け止めている。
ただし長期金利目標は「ゼロ%程度」は維持するとした。又、ETFの購入策の柔軟化を決め、年間6兆円の購入額は維持する一方、TOPIX連動の比率を拡大する。経済・物価情勢の展望レポートは、物価上昇率見通しを4月の1.3%から1.1%に、2019年度を1.8%から1.5%へ、2020年度は1.8%から1.6%にそれぞれ引き下げた。日銀は4月から物価上昇率2%の達成予想時期の明示をやめたが、今回の修正で2020年度以降への後ずれが確実になった。成長率や物価見通しも引き下げられ、次はより緩和的な政策が求められるようになるとの期待は大きい。
テクニカル面では、75日線22,456円を下値サポートとして、25日線、200日線も上昇傾向を維持しており、基調的には上昇トレンドに変りはない。ただ、75日線をはじめテクニカル面の節目に接近した場合、200日線22,350円を維持できるかが焦点となる。
来週の株式相場
以上、来週は企業の決算発表が活況を迎える中、米中貿易摩擦再燃に関心が移り、米国株や為替相場に左右されやすい神経質な展開が想定される。日経平均のレンジは、上値は7/18高値の22,949円が意識され、下値は200日線22,350円付近が目処となろう。
伊藤嘉洋
岡三オンライン証券 チーフストラテジスト