自然を目一杯満喫できるキャンプは、夏休みのレジャーの定番だ。しかし、「年に数回しか行かないキャンプのためにテントなどの装備をそろえるのは大変」「虫や暑さ、シャワーやトイレなどの設備を考えると、気が進まなくなる」という人もいるだろう。日常生活で炊事や家事に追われているのに、レジャーでも食事の支度をするのは面倒という声もある。そんな中、近年注目を集めているのが「グランピング」だ。今回は、オトナだからこそ味わえる「グランピング」の楽しみを見ていこう。

グランピングは良いところ取りの自然体験

glamping
(写真=Moise Sebastian/Shutterstock.com)

日本グランピング協会によると、グランピングとは「グラマラス(魅惑的な)とキャンピングを掛け合わせた造語で、テント設営や食事の準備などの煩わしさから旅行者を解放した『良い所取りの自然体験』に与えられた名称」という。キャンプで定番のテント泊や飯ごうでの炊事、バーベキューなどに代わり、リゾートホテルなどが運営する豪華な施設に宿泊し、食事の提供を受けながら自然の中で過ごす。これなら、「虫が苦手」「シャワーやトイレなどの設備が気になる」「炊事したくない」という人でも楽しめるだろう。

グランピングの発祥地は英国

「グランピング」の用語が生まれたのは2005年ごろの英国とされている。英国全土には、250カ所程度のグランピングスポットがあるという。風光明媚(めいび)な英国の田園・農村地帯ならではの牧歌的な雰囲気を味わえる、気楽な旅行スポットとして注目されている。また、古くから欧米富裕層の旅行先として人気のアフリカも、グランピングが流行するきっかけを作った。

2000年代に入ると、動物観察や写真撮影を好む富裕層向けに、豪華なサファリロッジが登場。ラグジュアリーにキャンプを楽しめる設備が整った。日本で「グランピング」という言葉が登場したのは2015年頃。しかし、1990年代のオートキャンプブームの後、既存のキャンプ施設の営業に限界を感じる経営者の中には、自然に親しみつつ室内で快適に過ごすリゾート施設を運営する動きもあった。

こうした流れから、日本でグランピングを名乗る施設のレベルはさまざまで、テント泊からリゾートホテルまで幅広くなっている。

グランピングの先駆け「星のや」

日本でグランピングの先駆けとなったのは、国内外で高級リゾートを手掛ける「星のや」だ。2015年秋に山梨県で開業した「星のや富士」のコンセプトは、ずばり「グランピング」。山の中腹に位置し、眼下に河口湖を望むキャビン(客室)に宿泊する。食事は、プロの指導の下、ダッチオーブンやピザ釜、くん製などを使用してアウトドアディナーをセッティングしたり、季節のジビエを楽しんだりと、グルメ派も満足できる内容だ。

また、季節や滞在内容に合わせて、さまざまなアクティビティも提案してくれる。日本国内でも、年々グランピングを楽しめる場所が増えている。以前訪れたことがある場所でも、グランピング目的で訪問すると、また違った魅力が見つかるだろう。

グランピングを楽しむコツ

アウトドア派の中には、「自分たちで苦労してこそキャンプの醍醐味があるのに」と考える人もいるかもしれない。グランピングを楽しむコツは「キャンプとグランピングはカテゴリーが異なるアクティビティだと考える」という点だ。「自然に親しむ」という目的は同じだが、グランピングならではのラグジュアリーさも楽しもう。

また、グランピングではテントの設営や食事の準備に追われることがない分、ゆったりとした日程で楽しむことができる。道中、道の駅に立ち寄って名産品を買うのもよし、立ち寄り湯でさっぱりと汗を流すのもよし、地元の味に舌鼓を打つのもいいだろう。宿泊先に着いたら、すでに食事や宿泊場所は準備されているため、自然の中でビールでも飲みながら、夕日が沈むのを眺めていれば良いのだ。

こうしたゆったりとした時間や旅を味わえるのも、オトナのキャンプ体験である「グランピング」の魅力といえるだろう。(提供:百計ONLINE


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