しつこい首や肩のコリ、慢性化した腰や膝の痛みをどうにかしたい! しかし、マッサージや整体に通っても、すぐにゴリゴリの身体に戻ってしまう……。こうした「身体のコリや痛み」は40代ビジネスマンのまさに職業病と言えるだろう。そんな悩みに対し、人体の構造に精通した酒井慎太郎氏に、なぜ、40代で関節にガタがくるのかを解説していただいた。

男性は「腰」女性は「首」の関節からダメになる

40代,関節セルフケア,酒井慎太郎
(画像=The 21 online)

人は関節から年をとる。これは、私が今までに首や肩、腰、ひざに不調を抱える何万人もの患者さんを診てきて得た結論です。とはいえ、関節の不調を訴えるのは、お年寄りばかりではありません。腰痛などで外来を訪れる人はむしろ、3~40代が最も多いのです。

本人は自覚していないことが多いのですが、関節の衰えは二20代から始まります。クッションの役割を果たす椎間板が、20歳を境に徐々に弾力性を失い、固まっていくのです。

それに加え、仕事で毎日同じ姿勢をとり続け、偏った身体の使い方をすることで、一部の筋肉が緊張し、余計に関節が固まっていきます。これが、関節の老化を加速させる原因です。その結果、働き盛りの3~40代で痛みが爆発します。

これは、デスクワークや立ちっぱなしの仕事の人に限りません。私はスポーツ選手やミュージシャンの患者さんも多く診ていますが、それぞれの職業特有の身体の使い方による痛みや故障を抱えており、「背骨をみれば職業がわかる」と言えるほど、関節の諸症状と職業は密接に関わっているのです。

さらに悪いことに、関節の不調は連鎖していきます。首や肩、腰、膝は全身の体重を分担して支えており、たとえば首が頭の重さを支えきれなくなれば、そのしわ寄せは腰やひざにやってくるのです。

一般的に、男性は腰の不調から始まり、首やひざへと波及していくことが多く、女性は首の不調から腰、ひざへと進行していく傾向があります。男性の腰痛の原因はさまざまですが、女性の場合は筋肉が弱く、関節が柔らかいため、重い頭を支える首の関節からゆがみが生じることが多いのです。

こうした連鎖を食い止めるには、日頃のセルフケアが欠かせません。さもなければ、無自覚のうちに蓄積した筋肉疲労や緊張が関節を老化させ、重大な病気すら引き起こしかねないでしょう。

なお、男性はかなり症状が悪くなってからようやく病院に来る方が多く、女性に比べて身体も硬いので、リハビリに時間がかかる傾向にありますので注意しましょう。

筋肉を鍛えるより、関節の柔軟性を

関節の不調を予防しようと筋肉トレーニングに励む人がいますが、残念ながらあまり意味はありません。私は通勤などで階段の上り下りや徒歩を習慣化している人ならば、ジムに通ってまで鍛える必要はないと考えています。

というのは、体重を支えるためにはある程度の筋力に加え、「関節の柔らかさ」が重要だからです。たとえば、地面に足を強く踏み込むと、同じ強さで身体に衝撃が返ってきます。その衝撃を柔らげるのが関節の柔軟性なのです。

大リーグで今も活躍するイチロー選手を見ると、関節の柔軟性の大切さがわかります。バッターボックスに立つ前には常に柔軟体操をたっぷり行なっていますが、だからこそ、野球選手にしては細い身体つきにもかかわらず、40歳を超えてもヒットを量産できるのでしょう。

関節の柔軟性を維持するためには、正しい姿勢を取り戻し、関節を正しい位置に戻すケアが肝要です。正しい姿勢だと筋肉の緊張が緩み、自ずと関節が正しい位置に収まり、血液や自律神経の流れがよくなります。

日頃より、関節を気遣った生活を心掛けましょう。

酒井慎太郎(さかい・しんたろう) さかいクリニックグループ代表
1970年生まれ。成蹊大学・呉竹学園卒業。整形外科や腰痛専門病院、プロサッカーチームの臨床スタッフとしての経験を活かし、関節痛やスポーツ障害の疾患を得意とする。独自で考案した「関節包内矯正」で、約100万人もの関節痛を治してきた実績を持つ。千葉ロッテマリーンズオフィシャルメディカルアドバイザー。TBSラジオ『大沢悠里のゆうゆうワイド』を始め、多くのメディアに出演。『酒井式 肩こり・腰痛が治る体の動かし方』(総合法令出版)など著書多数。(取材構成:麻生泰子)(『The 21 online』2017年12月号より)

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