金曜日の海外時間には、発表された米雇用統計でヘッドラインの非農業部門雇用者数が予想を下回ったことなどから、米長期金利が低下して円買いが強まりました。
今後の見通し
金曜日に発表された米雇用統計の結果は、非農業部門雇用者数はやや弱い結果でしたが、過去2か月が上方修正されていた事も含めれば総じて堅調なものと言えます。その中で緩やかな賃金上昇が続いていますが、加速する気配は感じられません。したがって今後FOMCが緩やかな利上げを継続するとの見方と整合的な結果と言え、ドル相場に影響を与えるようなものではありませんでした。
今週の注目は木曜日からワシントンで行われる日米通商協議です。 日本側の茂木大臣は焦点の自動車の関税問題に関して「日本の自動車関連産業が米国で150万人の雇用を創出している」などと説明して理解を求める予定ですが米側のライトハイザー通商代表は、日米のFTA交渉を求めるとともに、農産品などでさらなる市場開放を迫るとみられています。
協議で為替相場に対する直接的な言及はないものと考えられますが、日米間の貿易摩擦における緊張の高まりは、円高要因となることに加え、トランプ大統領のツイッターでの予期せぬ発言の可能性もあって円売りのポジションがとりにくい環境となると考えられます。
111.85円のドル売りポジションを維持
111.85円で作ったドル売り円買いのポジションを保有中です。111.65円に損切りを引き下げて、損失の可能性をなくしながら、110円台半ばまでの下落を待ちます。
海外時間からの流れ
欧州時間序盤、発表されたドイツのサービス業PMIが下方修正されたことからユーロ売りが強まる中、対ユーロでのドル買いを受けてドル円でもドル買いが優勢となって、ドル円は111.80円台まで上昇し、ユーロドルは1.1560台まで下落しました。しかしこの動きは続かず、すぐにドル円は111.70円付近まで反落し、ユーロドルは1.1580台まで上昇しました。
その後中国人民銀行が「為替フォワード取引の準備金を週明けから20%に引き上げる」として、人民元安をけん制する措置をとったことからややドル売りが強まって、ドル円相場は111.50円付近まで小幅に下落し、ユーロドルは1.1610付近まで上昇しました。
NY時間にはいって、発表発表された米7月雇用統計は非農業部門雇用者数が予想の19.3万人増に対して15.7万人増と弱い結果で、NYダウ先物など各国株価が下落し、米長期金利が低下したことから円買いが優勢となって、ドル円は111.10円付近まで、ユーロ円は128.60円台まで下落しました。一方ユーロドルは雇用統計発表後の買いが一巡すると欧州株の上下をにらみながら、1.1560付近まで下落したあと1.1600台まで反発しました。
NY時間引けにかけては、ドル円は111.20円付近の非常に狭いレンジ内のもみ合いとなった一方、ユーロドルは1.1560台までじり安となりました。
週明けの東京時間は各通貨ペアとも小動きが続いています。
今日の予定
今日の海外時間には、独・6月製造業受注の発表が予定されています。
(提供:FXプライムbyGMO)
高野やすのり
慶應義塾大学卒。チェース・マンハッタン銀行(現J.P.モルガン・チェース銀行)、スイス・ユニオン銀行(現UBS銀行)などでインターバンクディーラー業務等に従事。現、(株)FXプライムbyGMOお客様コンサルタント。Twitterでも情報発信中 高野やすのり@takano_fxp