会社経営陣が株主から自社株式を譲り受け、オーナー経営者として独立する行為を「マネジメント・バイアウト(MBO)=経営陣買収」という。MBOはM&A(合併と買収)のひとつだが、買い手が“部外者(第三者)”であるM&Aに対し、MBOは“部内者(経営陣)”になるのが両者の違いである。
MBOは経営学者のピーター・ドラッカーが、自身の著書の中で提唱した組織マネジメントだ。注目される背景にはいくつかあるが、「経営体制の見直し」などがあげられる。
銀行とファンド、企業を生かすも壊すもこの2つが大きな存在であるのは間違いない。こうした三つ巴が織り成す物語が木曜ドラマ『ハゲタカ』(テレビ朝日)だ。8月9日(木)午後9:00より放送される第4話のみどころを紹介していこう。
第4話のみどころ
みやびホテルの再建や鷲津の真意など、物語は大きく動きな動きを見せながら第1部が終了した。そしていよいよ第4話から『ハゲタカ』は第2部へと突入する。
鷲津政彦(綾野剛)の計略で三葉銀行の隠し口座が暴かれ、三葉の“大番頭”と呼ばれていた常務取締役・飯島亮介(小林薫)が失脚してから9年が経った。
名実ともに日本最強の「企業買収者」となったハゲタカ・鷲津。そんな彼が率いるホライズンジャパンが次に狙うのは、国内有数の大手総合電機メーカー『あけぼの』の買収だ。しかしその動きを察知したかのように、『あけぼの』には三葉銀行を辞め、企業再生のスペシャリストとして活躍していた芝野健夫(渡部篤郎)が“再生担当執行役員”として就任。それを知った鷲津は、買収の件を一旦保留にするよう社員たちに命じる。
三葉銀行の頃より鷲津と因縁深い芝野だったが、現在は経営不良の企業で容赦ないリストラを断行し、周囲からは“首切り屋”と揶揄される存在になっていた。しかし芝野はいくつもの企業を再生させており、鷲津はそんな彼の手腕こそを警戒していたのだ。ところが鷲津の判断に反発する社員があらわれてしまう。
そんな中、PCメーカー『ファインTD』の社長・滝本誠一郎(高嶋政伸)が『あけぼの』買収に動き始めていた。最初こそ『あけぼの』へ友好的な救済的買収を提案する滝本だったが、再生担当の芝野と社長の諸星恒平(筒井道隆)が申し出を拒否すると、『TOB(株式公開買い付け)』――すなわち「敵対的買収」を仕掛けると宣言する。
一方、滝本が『あけぼの』へ接近していることを知った鷲津は、その背後にある企業が潜んでいることを突き止めるのだが……。
怪優・高嶋政伸さん演じる滝本が2010年の日本でどう暴れるのか
カリスマ経営者として名を馳せる一方、業績拡大のためなら手段を選ばない強欲な『ファインTD』社長・滝本誠一郎、演じるのは数々のドラマに出演している高嶋政伸さんだ。高嶋さんは2016年のNHK大河ドラマ『真田丸』で北条氏政を担当し、その独特な“怪演”が大きな話題となった俳優でもある。本作で高嶋さんがどのような滝本を演じるのか、こちらも一緒に楽しみにしたい。
ところで第2部の舞台となる2010年といえば、子ども手当ての支給と増税、円高ドル安の進展、日本振興銀行の破綻とペイオフの実施などが起きた年である。また政治や社会に目を向けてみれば、尖閣沖で中国漁船が巡視船に衝突、大阪地検で証拠改ざん、さらにわずか9ヶ月で民主党・鳩山政権の退陣など、なにやらきな臭いものばかりだ。
人も企業も翻弄されていた時代を背景に、“ハゲタカ”と呼ばれる鷲津がドラマの中だけでも、日本の腐った何かを浮き彫りにしてくれるのかもしれない。(ZUU online 編集部)