ドル円予想レンジ110.00-111.90
「Theybetternotunderestimatethepresident(中国はトランプ大統領を過小評価しない方が良い)」-。これは米国家経済会議(NEC)カドロー委員長が8/3の米ニュース専門番組で通商協議を巡っての中国の姿勢に警告を示した際の見解である。米商務省が同日発表した6月貿易統計によると、単月前月比での対日赤字は7.1%減。しかし、2018年上期(1-6月期)の対日赤字は352億9800万ドル(約3兆9千億円)と前年同期比で2.9%の拡大が判明している。米中関係を睨む日本政府としては、飛び火しかねない畏怖のデータと言えよう。
「トランプ判定」は既定の米利上げジャッジを揺さぶるか
一部永田町関係者からは、トランプ政権(米通商代表部(USTR)ライトハイザー代表)側は9/20・自民党総裁選を控えた安倍首相を今夏は追い込まず、「安倍3選決定」、総裁選後の内閣改造・党役員新人事決定の初秋・政権安定化以降に本格的な通商交渉を始める、との見方も聞こえた。確かにトランプ政権側からすれば、11/6・米中間選挙念頭でのパフォーマンスに猶予がありそうだ。そうなると、ドルブル派が訝しげにチェックすべきものは9月の連邦公開市場委員会(FOMC)に向けた思惑か。理由は簡単だ。「FRBは景気が拡大するたびに、金利を引き上げたいと言う。わたしは嬉しくない」と7月にトランプ大統領が発言した経緯があるからだ。ホワイトハウスの報道官はFRBの独立及ぼすものではない、と直ちに声明したが、トランプ大統領の本音は①利上げがドル高となり、②米輸出を不利にしている、との思考となろう。トランプ大統領就任の2017年1月以降に米利上げは5回。そのうち2回はトランプ大統領自身が指名したパウエル議長の体制下による執行だ。苦々しく睨んでいる可能性も否めないのではないか。シカゴFEDウオッチでの9/26・FOMC利上げ確率は96%(8/10時点)。パウエル議長は7月の議会証言で“漸進的な引き上げの継続”を示している。しかし、「トランプ判定」の意向が周知のなかでは、8/23-25のカンザス連銀主催・ジャクソンホール・シンポジウムに向けてパウエル議長の年末に向けた利上げテンポ感の再表明が注視されそうだ。
尚、ホワイトハウスは公式発表していないが、昨夏のトランプ大統領は計17日間の夏季休暇を取得との観測報がある。本夏は8/8から所有するゴルフ場に滞在しているとされる。但しツイッター投稿に休暇はなさそうだ。
8/13週ドル円焦点
上値焦点は8/6-7-8高値圏111.45-49-53、8/3高値111.90。超えれば8/1高値112.16。下値焦点は7/26安値110.59、7/4-5安値110.275、200日線110.00近傍。割れると6/28安値109.95、6/27安値109.69、6/25-26安値109.35。各局面で日足一目均衡表雲の帯(109.735-111.27)が意識されると推考。
武部力也
岡三オンライン証券 投資情報部長兼シニアストラテジスト