日経平均予想レンジ22,233~22,800円

伊藤嘉洋,株式相場見通し
(画像=PIXTA)

今週は、米通商政策の影響が懸念される中、米国株高や為替相場の落ち着きが安心材料になったほか、好業績株物色を追い風に日経平均は7/20以来、取引時間中の高値22,800円を付けた。週末は、日米通商協議の警戒感を抱え、22,298円で終了した。

海外の焦点

米国の強硬な通商政策を背景に対イラン制裁や対中関税措置により世界的な景気の先行きへの不透明感はくすぶり続けそうだ。米通商代表部(USTR)は中国の知的財産権侵害に対抗した貿易制裁関税の第2弾を8/23に発動すると発表した。中国からの輸入品279品目、160億ドル(約1.78兆円)相当に25%関税を上乗せする。これに対し中国も同規模の報復措置を取ると表明した。中国が重点投資する半導体が多く含まれており、中国の更なる反発は必至の状況だ。又、米政府は5月のイラン核合意離脱を受け対イラン制裁の一部を再発動した。トランプ大統領は「イラン政権に最大限の経済的圧力をかけ続ける」と強調した。制裁第1弾は①金・貴金属取引、②自動車関連取引、③じゅうたんの米国への輸出などを禁止する。11月にはイラン産原油取引にも第2弾の制裁が科せられる予定で、対イラン対立が泥沼化してきた。

世界で最も不安定な地域である中東地域の混迷に拍車がかかる恐れがあり、足元では欧州企業の撤退に加え、日本企業への影響も計り知れない。

国内の焦点

9日から始まった日米通商交渉では、米国側の要求はトランプ大統領の意向次第で変わり得るため手探り状態で臨まざるを得ない。日本としては米国の対日赤字削減策として政府から民間企業にできるだけ対米投資を増やすことが必至であろう。民間直接投資促進のため政府が民間企業を支援することは米国に対する一つの対案になり得る。しかし、最終的な結論は日米首脳同士の会談まで決まらないのが実情であろう。テクニカル面では、75日線22,486円に沿う形で下値を切り上げる一方、7/18高値と8/1高値を結んだ延長線上の上値抵抗線22,680円付近での三角もち合いを週末に下抜けた。もち合い相場が煮詰まった局面では上下に振れやすく、短期に各移動平均線を回復すればイレギュラーとなるが来週以降のトレンドの方向性を待ちたい。

来週の株式相場

以上、来週は日米通商協議の動向に関心が集まる。金融緩和策強化や円の軟調推移に対し批判姿勢を示すのか、対日貿易赤字削減の方向で協議が進展するのか、いずれにしてもドル円相場への影響を見守るムードは強まりそうだ。日経平均のレンジは上値は8/8高値22,800円が意識され、下値は7/12窓埋め22,233円が目処となろう。

伊藤嘉洋,株式相場見通し
(画像=岡三オンライン証券)

伊藤嘉洋
岡三オンライン証券 チーフストラテジスト