昨日の海外時間には、前日までに急落したトルコ・リラが反発したことからリスク回避の円買いポジションが一部巻き戻されました。一方米株式が反発したことからドルが買われています。
今後の見通し
一昨日まで急落していたトルコ・リラが、中銀の対応と財務相による投資家への大規模な電話会議の開催といった材料を受けて、やや反発しています。そのことからリスク回避で買われた円の一部が売り戻された一方、米株式が反発したことなどから主要通貨に対してドルが買われています。昨日のトルコ・リラの動きは、主に利食いの買い戻しと考えられます。
トルコ当局は目先の混乱を抑えようとする動きはとっていますが、大幅な利上げなどの措置はとっておらず、また問題の米国人牧師も実際に解放されていません。トルコ・リラ下げ止まりの一つのきっかけとなった一昨日の報道では「米牧師は8月15日までに解放される見込み」とされていましたので、今晩の動き次第では、再びリスク回避姿勢が強まる可能性もあります。
ドル売りポジションは損切りで一旦様子見
110.85円で作ったドル売り円買いポジションは、昨日の海外時間に111円で損切りしました。トルコ情勢次第で再びリスク回避の円買いが強まる可能性がある一方、日足チャートの抵抗線を上抜いて上昇幅を拡大する可能性が示唆されているため、上げ渋るまで様子見をします。
海外時間からの流れ
欧州時間序盤、トルコ財務相が多くの投資家との電話会議を開催するとの報道もあってトルコリラが買い戻される中、リスク回避姿勢が後退して、円売りが優勢となって、ドル円は111.10円台まで、ユーロ円は126.90円台まで、ユーロドルも1.1420台まで上昇しました。しかし欧州株式が軟調に推移する展開となったことから再び円買いが優勢となって、ドル円は110.90円台まで、ユーロ円は126.20円台まで、ユーロドルも1.1380付近まで反落しました。
その後NY時間にかけて米長期金利が低下したことからドル売りが優勢となって、ドル円は110.70円台まで下落幅を拡大し、ユーロドルは一旦1.1410台まで反発したあと、1.1370台まで下落しました。
NY時間午後にかけては、米長期金利が反発する中米株式市場が上昇したことから、ドル買いが強まって、ドル円は111.30円台まで上昇し、ユーロドルは1.1330付近まで下落しました。
なおトルコリラ円は、欧州時間に17円台を回復した後も堅調に推移して、17円台半ばまで上昇しています。
今日の予定
今日の海外時間には、英・7月生産者/消費者/小売物価指数、米・7月小売売上高、米・8月NY連銀製造業景気指数、米・7月鉱工業生産、米・7月設備稼働率、米・6月対米証券投資収支の発表が予定されています。
(提供:FXプライムbyGMO)
高野やすのり
慶應義塾大学卒。チェース・マンハッタン銀行(現J.P.モルガン・チェース銀行)、スイス・ユニオン銀行(現UBS銀行)などでインターバンクディーラー業務等に従事。現、(株)FXプライムbyGMOお客様コンサルタント。Twitterでも情報発信中 高野やすのり@takano_fxp