会社の経営権などを目的に株を買い集める行為を「TOB=take-over bid(株式公開買い付け)」という。

目的の“株式”を取得するため買い付け内容を“公開”し、取引所を通さず“買い付け”を「宣言」するものだ。TOBに成功すると大量の株式を取得できるが、再生を模索する相手企業にとってはまさに「敵対的買収」ともいえる行為だろう。

その防衛策のひとつに「友好的TOB」がある。“ハゲタカ”と呼ばれる鷲津が果たして、日本有数の大手電気メーカーの“ホワイトナイト”になれるのか?木曜ドラマ『ハゲタカ』(テレビ朝日)、8月16日(木)午後9:00より放送される第5話のみどころを紹介していこう。

ハゲタカ
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第5話のみどころ

日本屈伸の電機メーカー『あけぼの』は、『ファインTD』のカリスマ社長・滝本誠一郎(高嶋政伸)から買収先として狙われていた。鷲津政彦(綾野剛)は滝本のバックにいる存在に気付くと、『あけぼの』のホワイトナイトを申し出る。

ところが滝本の策略、腹心であったアラン・フジタ(池内博之)の裏切りにより、鷲津はホライズンジャパンを解雇されてしまう。だが仲間たちと新たに『サムライファンド』を立ち上げ、鷲津は『あけぼの』を守るため再び滝本と戦う準備を始める。

その頃『あけぼの』の再生担当執行役員・芝野健夫(渡部篤郎)は、滝本の魔の手が家族にも及び苦悩していた。しかし『ファインTD』の買収から会社を守るため、芝野は社員らの反発を受けながらもレーダー開発部の売却を検討。その動きを知った鷲津と滝本は、水面下で『あけぼの』株の争奪戦に切り替える。

一方、ホライズンジャパン新社長に就任したアランは、鷲津が手がけてきた企業の株式を次々と売却。松平貴子(沢尻エリカ)が社長を務める『日光みやびホテル』もそのうちの一社に。アランから2週間で51億円を用意するよう告げられた貴子だが、鷲津がホライズンジャパンを解雇されたと聞かされ途方に暮れてしまう。

そんな中、『あけぼの』製のコンピュータに不具合が生じ、株が大暴落。『ファインTD』の後ろ盾となっている、アメリカ大手の軍産ファンド『プラザグループ』による先制攻撃と見抜いた鷲津たちは、資金を調達し徹底的に『あけぼの』株を買い集める。

こうして『サムライファンド』と『ファインTD』の壮絶な株争奪戦の幕が切って落とされた。

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現在にあって2010年には“なかった”もの

ドラマ第2部は2010年の日本が舞台となるが、8年前――2010年では現在の私たちの生活に大きく関わる存在が、まだ“なかった”時期でもあった。

例えば、劇中で登場人物たちが通話機器として主に使用するのは、“二つ折り”の携帯電話だ。日本でも2008年にiPhone 3Gが登場したが、“スマートフォン”が広く普及し出したのは2011年以降となる。

また鷲津が見上げる先には“東京タワー”があるのだが、同じ電波塔である東京スカイツリーは2012年の開業だ。ちなみに2011年の地デジ化に伴い、当時電波塔は東京スカイツリーへと完全移行の予定も工事が遅れてしまい、その間を東京タワーが補っていたという。

スマートフォンの登場により、いつでも、どこでも、欲しい情報を得られるようになった。地デジ化により、TVリモコンで天気やニュースが手軽に確認でき、文字テロップや副音声放送が使え、スマートフォンやパソコンでも“鮮明”な映像を観ることが可能となった。

8年の間に通信事情も劇的な変化を迎えている。今の日本がどのような転換期を迎えてきたのか、ドラマのゆくえと共に鷲津を通して見守りたいと思う。(ZUU online 編集部)