日経平均予想レンジ21,871~22,500円

伊藤嘉洋,株式相場見通し
(画像=PIXTA)

今週は、トルコ経済の混乱懸念から世界的なリスク回避ムードの広がりの中、欧米株下落の流れを引き継ぎ日経平均は週初7/11以来21,851円の安値水準まで売り込まれた。その後トルコリラの急落が一服したことを受け、22,380円の自律反発を見せたが、週末は米中協議再開を控えて、様子見気分の強まりから22,270円で終了した。

海外の焦点

米国人牧師の拘束問題で対トルコ関係は急速に悪化した。トランプ大統領はトルコに対する鉄鋼・アルミニウムの輸入措置について追加関税を2倍に引き上げる方針を表明。トルコ通貨リラの急落に拍車がかかった。一方、トルコのエルドアン大統領は14日の演説で国民に米国製品の不買運動を呼び掛けて対決姿勢を一段と強めた。対米関係の悪化など先行き不透明感は強まっており、当面はトルコ危機を受けて新興国通貨を揺るがす恐れが続くだけに予断を許さない。

米議会予算局(CBO)は今年のGDP伸び率を3.1%と4月時点の3.3%から下方修正をした。減税や歳出拡大による景気下支え効果の剥落を見込んだ。トランプ政権は3%超の持続は可能としているがCBOはより慎重な見方を示している。4-6月期は年率で4.1%と約4年ぶりの高い伸びを記録したが、減税を受けた個人消費の増加といった追い風が下半期は続かないと予想している。足元の米経済指標は雇用統計、住宅着工、PPIなど市場予想を下回った。9月のFOMCでは年内にあと2回、来年3回の利上げを見込んでいるが、米経済指標の弱含みとトルコ問題に歯止めがかからないと、9月に利上げ見通しを修正するかも知れず、ドル安・円高要因として警戒しておきたい。

国内の焦点

テクニカル面では、13日に21,851円まで下げ、14日には22,272円の窓を埋めたが、まだ明確な底打ち感は見られない。200日線22,400円付近が上値意識され、ここを抜けない限り強気転換とはなりにくい。7月には200日線を割り込んだ後、短期調整を経て出直っており絶好の押し目買いの好機となった。ただ200日線が右肩下がりになると少なくとも3ヵ月程度の調整の長期化が懸念されるだけに留意しておきたい。

来週の株式相場

以上、来週は国内材料に乏しい中、中国経済、トルコ情勢、為替相場など外部環境の動向を睨み神経質な展開を余儀なくされよう。今後のトレンドを占う上で、中長期の移動平均線の方向感を注視したい。日経平均のレンジは上値は節目の22,500円付近が目処となり、下値は8/16安値21,871円が意識されよう。

伊藤嘉洋,株式相場見通し
(画像=岡三オンライン証券)

伊藤嘉洋
岡三オンライン証券 チーフストラテジスト