金曜日の海外時間には、NYタイムス紙が「アメリカは通商協議で元高うながすよう中国に圧力かける方針」と報じたこと、トルコ・リラ、南ア・ランドなどが売られる中米長期金利が低下して円買いが優勢となりました。

今後の見通し

FXプライム,高野やすのり,市況解説
(画像=PIXTA)

先週は10日に急落したトルコ・リラに続いて南アフリカ・ランドが急落するなど波乱の幕開けでしたが、週後半にかけてはリスク回避も次第に後退して円が売りもどされました。そんな中、週後半からはドルも軟調に推移して、ドル円も再び110円台前半まで下げてきています。 今週は、水曜日から木曜日までの予定で、米中の事務レベルで通商協議が再開されます。またその木曜日には米中両国の160億ドル相当の輸入品に対する25%の関税措置が発動する予定です。

話し合いの行方によっては、11月の首脳会談に対する期待からリスク選好の動きで円売りが強まる可能性もありますが、金曜に報じられたように、アメリカが元高をうながすよう中国に圧力かけた場合は、同様に日本にも円高の圧力をかけてくる可能性が意識されて、円買いが強まると考えられます。

またドル円の日足チャートを見ると、一目均衡表の抵抗帯下限を割り込もうとしていて、抵抗帯下限の110.45円をNYクローズで下回ればいわゆる三役逆転となって、本格的な下落トレンド入りの可能性が示唆されます。急激な動きにはならないと思いますが、109円台半ば程度までの下落があると考えています。

111.20円のドル売りポジションを維持

先週111.20円でドル売り円買いのポジションを作っています。損切りラインを15日高値抜けの111.45円において109円台での利食いを目指しています。

海外時間からの流れ

欧州時間、NYタイムス紙が「アメリカは通商協議で元高うながすよう中国に圧力かける方針」と報じるとドル売りが強まりましたが、このドル売りは長続きせずに買い戻されました。その後特に新たな材料はありませんでしたがトルコ・リラや南アフリカ・ランドなどが売られると、米長期金利が低下する中全般的に円買いが優勢となってドル円は110.30円台まで、ユーロ円も125.50円台まで下落しました

NY時間にはいると、再びドル売りが優勢となって、ユーロドルは1.14ドル台を回復しましたが、円もドルと同様弱含んだためドル円は小動きがつづきました。

NY時間午後にはいって、WSJ紙が「米中通商協議の行き詰まりを打開するため、両国当局者は11 月の首脳会談を視野に工程表を作成している」と報じるとドル売りが強まって、ユーロドルは1.14ドル台半ばまで上昇しました。その間、リスク回避が後退したNYダウや日経平均先物と米長期金利が上昇したことから円売りも強まって、ドル円は110.60円台まで反発しました。

NY時間引け前には、大手格付け会社S&Pとムーディーズが相次いでトルコを格下げしました。しかし格下げはひろく予想されていたこと、格下げが1ノッチだったこと、さらに見通しが「安定的」とされたことから相場への影響は限定的なものとなりました。

今日の予定

今日の海外時間には、独・7月生産者物価指数の発表のほか、ボスティック・アトランタ連銀総裁の講演が予定されています。

(提供:FXプライムbyGMO)

高野やすのり
慶應義塾大学卒。チェース・マンハッタン銀行(現J.P.モルガン・チェース銀行)、スイス・ユニオン銀行(現UBS銀行)などでインターバンクディーラー業務等に従事。現、(株)FXプライムbyGMOお客様コンサルタント。Twitterでも情報発信中 高野やすのり@takano_fxp