ドル円予想レンジ110.00-112.50

武部力也,週間為替相場見通し
(画像=PIXTA)

「9月7日告示-20日投開票」―。これは8/21に自民党・総裁選挙管理委員会が正式決定した“自由民主党総裁選挙”の日程だ。

一部報道では“8/26頃に安倍首相(自民党総裁)は連続3選を賭けて立候補表明”、との観測が伝わっている。総裁選は既に出馬表明した石破茂元幹事長と一騎打ちになる見込みだが、永田町観測や一般報道では党内・国会議員票の7割以上が安倍支持とみられ、3選は有力とされている。その場合、与党第1党の自民党総裁選は、国会での首相選出にも直結した選挙であることから、閣内改造や党内新三役人事などを経て2021年秋まで安倍政権が続く可能性が高い。安倍政権「最後の3年」に突入する局面だ。尚、アベノミクスの盟友である黒田日銀総裁は既に4月から2期目入りをしており、2023年まで現策・異次元緩和と正常化プロセスの検討も含めた舵切りを継続する見通しである。

「アベノミクス」VS「イシバノミクス(?)」

自民党総裁選挙に対する金融市場の興味は、「アベノミクス」に対抗した「イシバノミクス」の存在有無か。石破氏が財政規律派で増税容認、となると、2019年10月施行予定の消費税率10%への引き上げは誰が自民党総裁就任でも揺らぎようがなさそうだ。

一方、筆者が注視しているのは1点。2012年9月の自民党総裁選挙で選出された、「安倍“新総裁”」就任時の挨拶である。「(~略~)長引くデフレ、そして円高によって、経済は低迷しています。この難局を打開して、強い日本、豊かな日本をつくっていく。それが私に課せられた使命であります」―。円高≒経済低迷の元凶、とまで位置付けた見解である。その後は、対米関係、主要国との協調枠組も念頭に過度な円安誘因は抑制された観だが、デフレ脱却道半ば、日銀の物価目標2%先送りの現況は周知である。今回の自民党総裁選挙期間中に街頭演説や公開討論会の場で、石破氏からアベノミクスの金融政策や経済財政運営に疑問が呈される可能性が高い。

対して安倍サイドとしては、アベノミクスの正当性を訴え、円高抑制の姿勢を鮮明化する、せざるを得ない、政敵(石破氏)に付け入らせない、とも読めるのではないか。円急騰場面が発生すれば“オールジャパン(機関投資家群)”に対し、なりふり構わない円投での支援、動員要請も有り得る、と邪推している。

8/27週ドル円焦点

上値焦点は111円半ば越え、8/3高値111.90。超えれば8/1高値112.16、7/20の米大統領ドル高牽制時の下落起点112.50近傍。下値焦点は8/23安値110.51,8/22安値110.02、8/21安値109.76。200日線(109.85近傍)が支援守護神として信奉されそうだ。局地戦では日足一目均衡表雲の帯(110.64-111.616)が意識されると推考。

武部力也,週間為替相場見通し
(画像=岡三オンライン証券)

武部力也
岡三オンライン証券 投資情報部長兼シニアストラテジスト