日経平均予想レンジ22,220~22,800円

伊藤嘉洋,株式相場見通し
(画像=PIXTA)

今週は、米中貿易問題など週内イベントを見極めたい心理の中、トランプ大統領の利上げ牽制発言を受け、一時、109円台まで円高に振れた為替が重しとなり、日経平均は22,053円まで売り込まれた。その後は、米国による中国に対する追加関税第2弾が発動されたが、織り込み済みと見て買戻しが入り、上値意識された200日線をはじめ、各移動平均線を回復した。週末は円安進行を追い風に22,601円で終了した。

海外の焦点

注目の米中通商協議がワシントンで開かれた。今回は次官級の協議であり、11月開催が予定されている首脳会談までは本格的な協議は先送りされそうだ。市場では、「米中通商協議への期待で買われているが、進展の可能性は低く、イベント通過後は売り戻され、これまで通りのレンジ推移になる」との指摘もある。一方、23日からジャクソンホールで経済金融シンポジウムが開催された。FOMC議事要旨では、次回の9月会合で追加利上げをするのが妥当との認識が示唆されている。24日にはパウエルFRB議長が講演する予定で、最近の新興国リスクの影響に言及するかなどが注目される。市場では、新たな発言を想定していないが、年内あと2回の利上げが示されれば、売り圧力になる可能性があるとの見方は多い。

直近10年間のS&P500の月別騰落率は、8、9月は年間の中でパフォーマンスが悪い。この時期は10月末決算のミューチュアルファンドや、11月末決算のヘッジファンドによる解約売りや、節税のための売りが出やすいと指摘されている。実際8、9月は外国人の日本株売りが多い。これも決算を控えた海外ファンドによるものと見られる。事実、主体者別売買動向を見ると、8月第1週から外国人の売りが目立ち始めた(1~3週現物、先物合計1.2兆円)点は注視しておきたい。

国内の焦点

テクニカル面では、騰落レシオは83%台に低下、PERは12倍台に入り、売られ過ぎ圏内とは言えないが、値頃感を意識させる水準に位置する。チャート面では、短・中・長期移動平均線を上値とした調整局面にある。一方、3/26安値20,347円と7/5安値21,462円を結んだ下値切り上げトレンドの22,100円付近が下値支持線として機能している。足元では、レンジ縮小でどちらかに方向感が出やすい局面に差し掛かりつつあり、レンジ相場を放れるタイミングを待ちたい。

来週の株式相場

以上、来週は米中貿易摩擦や米政治情勢の警戒感は残るものの、追加関税発動後の懸念材料出尽くしを背景に、調整一巡感からレンジ切り上げを探る展開と捉えている。日経平均のレンジは、上値は8/8高値22,800円が意識され、下値は8/21終値22,220円が目処となろう。

伊藤嘉洋,株式相場見通し
(画像=岡三オンライン証券)

伊藤嘉洋
岡三オンライン証券 チーフストラテジスト