外国人へと向けた、日本国内での商品やサービスへの需要を「インバウンド(inbound)需要」という。これに対し、自国(日本)から外国へ出かける旅行が「アウトバウンド(=海外旅行)」だ。
観光庁によると、2016(平成28)年の訪日外国人1人当たりの旅行支出額は15万5896円、旅行消費額は3兆7476億円だった。中国人観光客の「爆買い」や東京オリンピックに向けた「民泊」問題などは記憶に新しいと思うが、最近では外国人が大挙して日本の不動産関係を購入し、その様子がニュースでも取り上げられるほど「インバウンド需要」は大きい。
こうした影響を受けてか、アジアを中心とした外国人による日本企業への注目が増えている。海外企業との契約で樫村は現状打開ができるのか?ドラマBiz『ラストチャンス 再生請負人』(テレビ東京)、8月27日(月)午後10:00より放送される第7話のみどころを紹介したいと思う。
事業再生のための分割売却とグッドバッド方式
M&A(合併と買収)や事業再生の場面では、度々「分割売却」や「グッドバッド方式」などが登場する。
「会社分割」とは、会社を複数の法人格に分割し、それぞれに組織や事業を引き継がせる手法のこと。引き継ぐ会社は分割を行う会社、または株主に株式を割り当てられており、グループ内の組織再編としても用いられている。部門売買という観点では「事業譲渡」に類似するが、「事業譲渡=個々の資産」譲渡であるのに対し、「会社分割=事業部門一体としての切り離し」という点が異なるだろう。
一方、「グッドバッド方式」とは、1つの会社にある「グッド部門(業績好調な部門やブランド)」と「バッド部門(業績が悪い部門や負債)」を切り離し、事業再編を目指すやり方だ。
その場合は、「バッド部門」に残された債権者や利害関係者(従業員など)は損害を受けることがある。もちろん、この方法は債権者の利益を害する「詐害行為(さがいこうい)」や、特定の債権者のみ返済利益を与える「偏頗弁済(へんぱべんさい)」にも抵触しないよう配慮する必要があるだろう。
このような「会社分割案」や「グッドバッド方式」が提案される中、樫村が選んだ方法とは?
前オーナーとの対峙する樫村、そして十和子の真意とは? 第6話のあらすじ
樫村(仲村トオル)はフランチャイズ権の無計画販売により、デリシャス・フードを経営危機へと陥れた創業者・結城(池田成志)と初対面した。結城からは謝罪とともに、経営再建に向け「持ち株会社(ホールディング)」や「会社分割」を提案されたが、樫村はそんなことはできないと憤慨する。
――私はデリシャス・フードと、社員の味方です。
再建へと奔走する中、ファンド社長の山本(大谷亮平)から、香港企業が自社ブランドに興味を持つているとの情報がもたらされる。現状打開を図るため海外進出に意欲的な樫村だったが、渋川(石井正則)だけは異議を唱えた。
一方、十和子フード社長の十和子(水野美紀)は資金提供と引き換えに、55%の株譲渡(経営権)などを要求。さらに宮内(椎名桔平)の会社に再就職した前社長・大友(本田博太郎)は、伊坂商事・小沢(竜雷太)からの支援を樫村へとほのめかす。
山積した問題に頭を悩ます樫村だったが、謎の占い師(ミッキー・カーチス)から「光明が差している」と言われ喜ぶも、再度「女難の相」を危惧されてしまう。
そんな折り、社内から次々に機密情報が漏洩し、フランチャイズ・オーナーである龍ヶ崎(大鷹明良)により会社の銀行口座が“差し押さえ”られてしまう。取りまとめ委任と引き換えに差し押さえを解除させた樫村だが、駆けつけた銀行には宮内と大友の姿が……。
第7話のみどころ
「お前、騙されてないか?」宮内から、十和子の後ろに前オーナー・結城が居ることを知らされ驚愕する樫村。銀行からの圧力を受けるさなか、宮内と大友は伊坂商事の支援を盾に、デリシャス・フードを分割して売却するよう樫村に迫る。
経営再建のため決断を迫られる樫村だったが、一体誰を信じればいいのか苦悩する。
デリシャス・フードの命運を託す先は、十和子フードか、それとも伊坂商事か。樫村は十和子に結城との関係を問いただす。
そして、混乱した樫村がいつもの占い師を訪ねると……。
様々な人物たちの嘘が発覚し、巧妙に張り巡らされた罠や相次ぐ裏切りが露見していく。次回、ついに樫村が“最大の敵”との対決に挑む!(ZUU online 編集部)