昨日の海外時間には、アルゼンチン・ペソ、トルコ・リラなど新興国通貨が大きく売られる中、トランプ大統領が中国の輸入品2000億ドルに対して追加関税を発動したい、と述べたことからリスク回避の動きが強まって、円が買われました。
今後の見通し
昨日はトルコ・リラ、アルゼンチン・ペソなど新興国通貨が下落しました。アルゼンチン・ペソは通貨安に対抗するため、中銀が政策金利を45%から60%に引き上げましたが、ペソ安は止まらず、一時前日比20%以上下落しました。その影響で全般的にリスク回避ムードが強まる中、トランプ大統領が中国からの輸入品2000億ドルに対して追加関税を来週中にも発動したいと報じられたことから円が一段と買われました。さらに今日早朝トランプ大統領は「為替操作の決定方式を決定することを検討中」「中国を為替操作国に認定するか検討」などと発言しましたが市場への影響はあまり出ていません。
昨日も書いたように、このところ貿易摩擦問題に対して楽観的な見方が広がって、リスク選好の動きで円安傾向が続いていましたが、新興国通貨が下落してリスク回避姿勢が強まる中、トランプ政権が一段と保護主義的な姿勢を強めたことから、円の買い戻しが強まっています。しばらくは、新興国通貨の動揺と、トランプ政権の動きに敏感になることが予想され円の買い戻しも続くと予想します。
ドル円で戻り売り
昨日130.75円でユーロ買いのポジションを作りましたが、夕方に130.45円で損切りが成立、その後ドル円が東京時間の安値を割り込んだことから111.50円でドル売り円買いのポジションを作りました。今日一旦111.00円で買い戻しましたが、戻り売りを考えています。
海外時間からの流れ
欧州時間序盤、欧州株とトルコ・リラが下落する中、ユーロ売りが強まって、ユーロドルは1.1670台まで、ユーロ円は130.20円台まで下落。その後いたイタリア国債入札が無難な結果となったことから株価が反発、ユーロも買い戻しが優勢となって、ユーロドルは1.1700台まで、ユーロ円は130.60円台まで上昇しました。
NY時間にはいって、アルゼンチン・ペソが暴落する中、NYダウが寄り付きから下落、米長期金利が低下し、リスク回避の動きで円買い、ドル買いの流れとなって、ドル円は111.10円台まで、ユーロ円は129.40円台まで、ユーロドルは1.1640台まで下落しました。
NY時間午後に「トランプ米大統領は中国からの輸入品2000億ドル(約22兆2200億円)相当への関税を、来週に公聴会が終了し次第発動したい考え」と報じられたことから、各国株価、米長期金利が下落する中ドル売りが優勢となって、ドル円は110.90円台まで下落し、ユーロドルは1.1670台まで反発しました。
今日の予定
今日の海外時間には、独・7月小売売上高指数、ユーロ圏・8月消費者物価指数、ユーロ圏・7月失業率、米・8月シカゴ購買部協会景気指数、米米・8月ミシガン大学消費者信頼感指数(確報値)の発表が予定されています。
(提供:FXプライムbyGMO)
高野やすのり
慶應義塾大学卒。チェース・マンハッタン銀行(現J.P.モルガン・チェース銀行)、スイス・ユニオン銀行(現UBS銀行)などでインターバンクディーラー業務等に従事。現、(株)FXプライムbyGMOお客様コンサルタント。Twitterでも情報発信中 高野やすのり@takano_fxp