数週間から数カ月もの長い間仕事を休み、リフレッシュや自身の成長のための勉強に当てる「サバティカル休暇」。欧米ではすでに導入している企業が多くあります。日本でも一部の企業が導入を始めているところですが、今後浸透していくのでしょうか。

ただでさえ休暇が取りにくいといわれる日本では、サバティカル休暇は周りの人々の理解を得られるかどうかも気になります。欧米でのサバティカル休暇の使われ方、そして日本での例についても見ていきましょう。

「サバティカル休暇」、その名前の由来と目的とは?

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(提供=J.ScoreStyle)

サバティカル休暇は、旧約聖書で安息日のことを「サバティカス」と呼んでいることが由来です。一般的にサバティカル休暇は、一定期間勤務して高い成果を上げた人にリフレッシュしてもらうため、長期間休みを与える制度とされています。

欧米で導入が進んでいる制度で、スウェーデンでは最長1年間手当を受給しながらサバティカル休暇をもらうことができます。またフランスでは勤務する企業における勤務年数が3年以上で、かつ通算の勤務年数が6年以上の人が6カ月から11カ月のサバティカル休暇を取得できます。さらにフランスでは有給休暇を積み立てて、長期休暇の時に利用できる「休暇積立口座制度」も確立させています。この制度を利用すれば、給与をもらいながらサバティカル休暇を過ごすことができるのです。

ところでこのサバティカル休暇は、ただリフレッシュすることだけが目的ではありません。企業側としては休暇を留学期間に当てるなど、自己成長に使ってもらいたいという狙いもあり、通常の休みとは認識が異なります。

数日間や数週間の休みでは、どうしても勉強にまで目が向かないかもしれません。しかし、サバティカル休暇として数カ月から1年の休みがもらえるとしたら、外国語の習得や大学などでの学習も夢ではありません。

ただ休むだけではない!サバティカル休暇を有効に利用しよう

サバティカル休暇は学びのための期間でもあることをご紹介しましたが、この制度をいちばん有効に利用できるのは研究機関や大学などではないでしょうか。文部科学省の研究振興局学術機関課が全国の大学・短期大学のサバティカル休暇の整備状況について調査をしています。それによると、2008年時点で国立大学の52.3%、公立大学・短大の16.1%がサバティカル休暇を導入しています。

他の研究機関や大学との人材交流、他の機関の研究施設利用にサバティカル休暇を使うパターンが多いようです。自分の今のポジションを一時的に外れて自由に研究できる期間として有効に活用されています。

大学では自由研究ができる期間としてサバティカル休暇を利用していますが、一般企業ではどうなのでしょうか。例えばヤフー株式会社では勤続10年以上の正社員が2~3カ月のサバティカル休暇を取得できるような制度を整えています。この間、1カ月は給与も取得でき、それ以外の部分にも年次有給休暇を当てることができますので、サバティカル休暇取得者は金銭面の心配もなく休むことが可能です。

ヤフー株式会社ではサバティカル休暇を「キャリアを見つめ直す期間」と位置付けており、休暇終了後は報告書の提出を求めています。企業側も単なる休暇ではなく、学びの期間として利用してもらいたいと考えていることが分かります。

サバティカル休暇にも課題がある?

「長期の休暇を取得できる」「リフレッシュや学びの機会を作ることができる」というメリットがあるサバティカル休暇ですが、課題もあります。

まずは「有給休暇の取得率も低い日本で、サバティカル休暇まで取得できるのか」という点です。

また、サバティカル休暇は労働基準法で定められた休みではありません。休暇期間中の有給・無給の決定は企業側に委ねられています。「いくらサバティカル休暇を作っても、無給にした場合は従業員側が休暇取得を躊躇する」ということにもなりかねません。

今後は日本でも浸透していく?

今後、日本でも導入する企業の増加が期待されるサバティカル休暇。企業での導入が増えれば、今の職務に直接関係ないことでも、キャリアアップにつながる「学びの時間」を確保する絶好の機会になるでしょう。

サバティカル休暇の浸透のためには、まず「休暇中の給与(手当)支給制度の確立」と「休暇をためらいなく取れる環境作り」がカギとなるのではないでしょうか。(提供:J.Score Style


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