証券会社選びのポイントは手数料の安さや取り扱い商品の種類など投資家によってさまざまだが、その一つとなるのがIPOだろう。IPOの取り扱い件数や当選確率は、IPOに関心のある投資家には重要な判断材料だ。HS証券(エイチ・エス証券)はIPOに独自のポイント制度を導入しており、当選確率が上がる仕組みを持っている。
HS証券とは
HS証券は1956年に設立された協立証券株式会社が起源。旅行代理店業を営むH.I.S(エイチ・アイ・エス)が買収し、1999年4月にエイチ・アイ・エス協立証券株式会社に商号を変更、2001年4月にHS証券に商号変更された。
その後、HS証券株式会社は独自の金融コングロマリット構想により、2007年、澤田ホールディングスを設立。証券事業は現在のHS証券株式会社に継承されている。澤田ホールディングスの傘下には、他にもモンゴルのハーン銀行やキルギスのキリギスコメルツ銀行がある。現在のHS証券の資本金は30億円、従業員数は171名だ。
HS証券の2018年3月末時点での預かり資産は4,138億900万円。前年の同期と比べると646億8700万円増だ。2017年度の営業収益は41億6100万円、営業利益は6億9400万円、純利益は7億400万円。前年度よりも収益、利益、純利益ともに上昇しており、好調な経営状態といえる。
HS証券ならではのIPOポイント制度とは
HS証券の大きな特徴となるのが、独自のIPOポイント制度だ。そもそもIPOとは、新規公開株ともいい、未上場企業が新しく株式を証券取引所に上場し、広く投資家に株式を取得させることを指す。売り出し価格よりも株価が上昇する傾向があり、人気となっている。
しかし、ほとんどの場合売り出される株の数量よりも購入希望者の方が多くなり、個人投資家がIPOを購入するにはブックビルディング期間中に購入希望を証券会社に申込んだあと、抽選で当選する必要がある。IPOの抽選方法は証券会社によってさまざまだ。一人一口で申し込み、機械的に抽選を行う場合もあれば、投資額に応じて当選確率が変わる場合もある。
HS証券のIPOでは、独自のポイント制が導入されており、ポイントによって当選確率が変化するのが特徴だ。HS証券でインターネット取引口座を持っていると、ポイントを貯めることができる。
IPOポイントは、取引や信用建株の残高に応じて貯めることが可能。例えば、国内株式と先物・オプションの取引手数料の月合計金額1,000円ごとに100ポイント付与される。また、毎週、最終営業日の建株金額を集計し、買建株金額合計から売建株金額合計を差し引いた建株金額100万円ごとに10ポイント付与される。そのほか、キャンペーンやイベントに参加する、アンケートに協力するなどでIPOポイントを貯めることもできる。
IPOポイントを使えば当選確率を10倍にできる
HS証券ではまず、口座を持っている人すべてが参加できる全体抽選を行う。これは需要申告をした人すべてが対象で、1口座1口で抽選を行うものだ。全体抽選にはIPOポイントは必要ない。
全体抽選後、再度行われるのが優待抽選だ。こちらはIPOポイントを利用して参加できる抽選で、IPOポイント1,000ポイントで1口申し込みができる。優待抽選は、1銘柄に対する申込口数の上限がないのが大きな特徴だ。例えば5,000ポイント持っていれば、5口、10,000ポイント持っていれば10口申し込むことができる。
ポイントを多く持っているほど当選確率を上げることができるので、IPOの当選確率を上げたいと思っている個人投資家にとってメリットは大きい。
全体抽選と優待抽選の当選確率は、かなり大きな違いがある。例えば2015年11月4日に行われたゆうちょ銀行 <7182> のIPOでは、全体抽選での当選確率が12.07倍だったのに対して優待抽選は1.00倍。優待抽選に申し込んだ人は全員当選していることになる。
2018年3月29日に行われた和心 <9271> では、全体抽選が1458.50倍だったのに対して、優待抽選では189.85倍と大きな差がある。さらに優待抽選を申込口数ではなく、申込人数で当選倍率を算出した場合は17.28倍となり、より当選確率が高いという結果になっている。
HS証券のIPO取り扱い実績は
いくら当選確率が高くなるといっても、IPOの取り扱い実績が少なくては意味がない。HS証券のIPO取り扱い実績はどうだろうか?
HS証券がIPOの幹事案件に携わったのは1999年以降。2004年にはIPOの主幹事も務めており、実績は十分と言える。2015年の幹事実績は13件、2016年は7件、2017年は10件となっている。2017年の実績では、6月20日のディーエムソリューションズ株式会社 <6549> の騰落率184.0%など、かなり上昇した銘柄もある。
HS証券の手数料とは
IPOポイントを貯めるには、HS証券のインターネット取引口座を開設した上で、取引を行う必要がある。しかし、取引手数料などが高ければ取引を行うメリットがない。HS証券の手数料はどうだろうか。
インターネット取引の場合、1回の注文の約定代金によって手数料が変わる一般コースと、1日の約定代金合計に対して手数料が変わるハイパーアクティブコースの2つの手数料体系がある。
一般コースでは、10万円以下で現物取引の場合134円、信用取引の場合96円だ。ネット証券でも手数料が安いことで知られるSBI証券は、10万円以下で現物取引の場合は97円。SBI証券よりは少し高いが、十分に利益を狙えるレベルといえる。
1注文の約定代金……代金現物取引/信用取引(制度・信用) 10万円以下……134 円/96円 10万円超〜20万円以下……179円/140円 20万円超〜30万円以下……339円/458円 30万円超〜50万円以下……572円/458円 50万円超〜100万円以下……1,000円/1,143円 100万円超〜150万円以下……1,143円/1,143円 150万円超……1,715円/1,429円
ハイパーアクティブコースについてもみていこう。HS証券のハイパーアクティブコースは、一日の約定代金合計額の枠が大きいのが特徴だ。300万円以下で2,500円、300万円以上600万円以下で5,000円と、枠がざっくりしている。
SBI証券の場合、10万円以下は無料、20万円以下で191円と約定代金が細かく分けられており、手数料が変わってくる。300万円の場合で比較するとSBI証券は1,686円であり、1日の約定代金で行くとSBI証券の方が手数料は低い。ただしこちらも業界最安値レベルとはいかないものの、十分に利益を出せる範囲内ではある。