ご自身やご家族に「相続対策」という言葉をあてはめたとき、どのようなことが頭に浮かぶでしょうか。「税金」「揉め事」「生前贈与」など財産の額や相続人の人数など、それぞれの環境によって必要な相続対策は異なります。しかし、対策を間違ってしまうと遺された相続人間で争いが起こってしまったり、相続税の負担が思いのほか大きくなってしまったりすることも考えられます。今回は、生前に相続対策を進める場合に、どのような点に注意をすればよいのか、基本的な考え方を解説します。

一番はじめに行うことは?

capple
(画像=gpointstudio/Shutterstock.com)

相続税の負担は少なくなったが「相続人同士が揉めてしまった」「対策が不十分だったため財産を手放すことになってしまった」など、生前に対策を行っていたとしても、遺された相続人にとって必ずしも有効な対策が行われていたとは言えない場合もあります。そのようなことにならないために、さまざまな角度からできるだけ有効な対策を検討・実行していくわけですが、はじめに行うことは対策を立てることではなく「人・財産の確認」です。

「人」については、相続人となる人(推定相続人)が誰で何人いるかの確認です。配偶者・子・親・兄弟姉妹などのうちだれが相続人となるのか、また年齢・性別・所在地などの属性のほか、「代襲相続人」の有無や人数についても確認しておく必要があります。家系図などを作成してまとめておくと全体像を把握することができます。

「財産」については、預貯金・有価証券・不動産・自社株式・負債など、被相続人となる人がどのような財産をどれくらい所有しているのかを確認することです。特に不動産は評価の方法によって相続財産としての評価額が大幅に変わる可能性があるため、知識・経験などが豊富な専門家に評価を依頼することが必要です。

まずは、相続対策を考える前にこの作業を行い、対策を立てた後も定期的に「人・財産」に増減・変更などがないかを確認する必要があります。この確認作業はごく当たり前のことに思われますが、この作業を怠ると「適切な対策が立てられない」「考えていた相続対策の効果が減少してしまう」などの弊害が出る場合があります。当たり前のことと考えずに、現状の確認と定期的な確認は行っていくことが重要です。

3つの大きな相続対策

現状の確認を行ったうえで、次の3つの大きな対策のうち、どの対策が必要となるのかを検討していきましょう。1つ目は「遺産分割対策」です。誰にどの財産を相続させるかを生前に決定しておく作業です。特定の財産を特定の人に相続させたい場合や分割しづらい財産がある場合などは、遺産分割対策とあわせて遺言書を作成することにより、被相続人の遺志を形にできるでしょう。また、遺された相続人間の争いごとをなくすことも可能となります。「生前贈与」も相続が発生する前に財産を特定の人に引き継がせることができるため、被相続人となる人の意向を反映した遺産分割対策が行えるといえます。

2つ目は「納税資金対策」です。現状を確認した結果、相続税の納税が発生する可能性が高くなった場合、遺される相続人の納税方法を検討しておく作業となります。相続する現金や相続人の財産からの納税のほか、相続した不動産を売却して納税資金に充てる計画や生命保険を活用して納税をする方法、被相続人となる人が生前に賃貸物件を購入し納税資金を確保する方策などが考えられます。

最後は「税負担軽減対策」です。いわゆる節税対策ですが、遺される相続人の税負担が思いのほか多くなると想定される場合などに、現状でできる対策を検討するのが賢明です。生命保険の活用や所有地への賃貸物件の建築、子や孫への生前贈与のほか、適正な土地評価による相続税評価額の減額なども対策の一つとなります。

対策に優先順位をつけて考える

人と財産の確認をしたうえで、上記の3つの大きな相続対策のうち、どの対策をはじめに行うべきかを検討し、その後に具体的な方策を考えていくことになります。それぞれの家庭の事情などによって必要となる対策はさまざまですが、一つだけ言えることは、納税対策・節税対策といった税金対策ありきでは根本的な相続対策にはならないということです。

まずは、揉め事や争いごとがなくスムーズに次世代に財産を継承する遺産分割の対策を考えることが必要です。そのうえで相続税が発生する場合には、納税資金を確保する方策や税負担を軽減する対策を考えたほうが、財産を遺す側にとっても安心でき、財産を引き継ぐ側にとってもメリットがあるのではないでしょうか。

いずれにしても、まずは現状を確認したうえで、ご自身・ご家族にとって最適な相続対策とは何か、じっくりと優先順位をつけて考えていくことが重要です。(提供:相続MEMO


【オススメ記事 相続MEMO】
必ずしも相続する必要はない。相続放棄とは?
相続税。遺産を相続できるのはどんな人?どんな割合?
相続税対策としての贈与を上手に活用しよう
相続対策にも有効!等価交換のメリットとは
遺言書があったらどうなる??その効力と扱い時の注意とは