要旨
● 今日は2回目のプレミアムフライデーだ。第1回プレミアムフライデーの効果はどのようなものなのか確認してみたい。
● 業種別に見ると、外食、パック旅行は高い伸びとなった。一方で、衣服やそのほかの教養娯楽サービスは不調で、業界ごとに効果はばらついている。地域別に見ても、効果は都心に限られていたようだ。
● 家計調査の結果を基に試算すると、プレミアムフライデーの外食による押し上げ効果は2月で74.9億円となった。今後同様の効果が続くとしても、2017年の名目消費を+0.03%pt押し上げるに過ぎず、効果は小さい。今後の広がりに期待したい。
プレミアムフライデー始まる
働き方改革や消費押し上げを狙い各月の最終金曜日を早帰りとする“プレミアムフライデー”は2月24日に第1回が実施され、本日が2度目となる。周知期間が短かったことや業務への負担が大きいこともあり、完全に実施されている企業はまだまだ少ないようだ。一方で、百貨店などではプレミアムフライデー消費を狙った催事が実施され、一部では好調だったとの報道もみられる。本稿では、2月家計調査の結果から、2月24日の第1回プレミアムフライデーが消費に影響を与えたのかどうかを見て行きたい。
外食でプレミアムフライデー効果
2月家計調査の名目消費支出は二人以上世帯で前年比▲3.4%、より実態を表す除く住居等でみても同▲3.3%と大幅に減少した。もっとも、これは昨年2月がうるう年により1日多かった(土日祝日も昨年の方が1日多い)ことが押し下げの主因である。除く住居等を季節調整値でみると前月比+0.2%とほぼ横ばいであり、消費は横ばい圏での推移に留まっていることに変化はない。
日別消費でみると、プレミアムフライデーが実施された2月24日は、二人以上世帯では前年比+25.1%、よりプレミアムフライデーの効果がでるとみられる勤労者世帯では前年比+26.9%と高い伸びを示した(図表1)。ただしその内訳をみると、自動車等関係費やこづかい(使途不明)など振れの大きな項目が大幅に押し上げている(図表2)。事前にプレミアムフライデーの効果が期待された外食、洋服、レジャー関連では、外食が前年比+42.5%、パック旅行費が同+322.6%と高い伸びになった一方で、洋服は同▲38.1%と伸び悩んだほか、パック旅行を除いた教養娯楽サービス支出は前年比2割減となっており、業界ごとに商機につながったところとつながらなかったところでバラつきが見られる。
また、業界統計をみても、日本百貨店協会による百貨店売上高をみると全国版ではプレミアムフライデー効果が指摘されない一方で、東京版ではその効果が指摘されている。日本フードサービス協会による外食産業市場動向調査でも、都心部の一部でのみ居酒屋の集客効果が指摘されている。2月のプレミアムフライデーは初回ということで、大企業、都心中心で展開されたこともあり、地域による効果のバラつきもあったようだ。
マクロの効果は・・・今後に期待
非常に粗い試算ではあるが、マクロ消費への影響を見てみたい。ここでは、GDPの名目家計最終消費支出に家計調査の日別消費額のウェイトを掛け合わせることで試算した。とすると、2016 年2月最終金曜日の家計最終消費支出は8,171 億円、2017 年2月24 日は10,238 億円と試算され、増加分は2,067 億円となる。ここに、家計調査二人以上世帯の2017 年2月24 日の消費支出増加分に対する外食の寄与度を掛け合わせて試算すると、プレミアムフライデーの外食による消費押し上げ効果は74.9 億円となる。2017 年に計11 回実施されるとして、同様の効果が続くとすれば年間で824 億円、消費を押し上げることになる。これは、GDPの家計最終消費支出をおよそ+0.03%pt 押し上げるに過ぎず、その効果は非常に小さいと言わざるを得ない。
今後、プレミアムフライデーが定着し利用者が増え、各業界が商機に繋がるよう努力を続け、都心以外へも影響が広がれば、その影響も高まるだろう。プレミアムフライデーの今後の広がりに期待したい。(提供:第一生命経済研究所)
第一生命経済研究所 経済調査部 担当 主任エコノミスト 柵山 順子