「勝手に売れる」よう、徹底的にこだわる

SmartHR,宮田昇始
(画像=The 21 online)

――サービス開始後、予想していなかったことが起こった、ということはありますか?

宮田 やはり、規模の大きい企業に使っていただけたということです。当初は、大きくても100名規模くらいだろうと思っていました。というのは、近しいジャンルのクラウド会計のサービスを見ると、そのくらいが限界のように感じているからです。

ところが、サービス開始の翌月くらいには400名の企業での導入が決まり、これはまったくの予想外でした。2年目に入ると、機能も充実させて、1万名規模の企業でも導入していただけるまでになりました。

――見えないニーズがあったということですね。

宮田 数百名規模の企業には開発時にヒアリングをしていましたが、数千名規模の企業に導入していただけることは想定していませんでした。

私たちが思っていた以上に、企業規模を問わず、人事労務部門が共通の課題を持っていらっしゃいました。

――昨年4月に、社名をサービス名と同じSmartHRに変えています。これからはSmartHR一本でいこうということでしょうか?

宮田 サービス開始の時点から、そのつもりでした。

周辺領域のサービスは増やしていきたいと思っていますが、あくまで労務を軸にして、その強みを活かした事業をしていきたいと考えています。

――周辺領域というのは?

宮田 人事労務まわりで、いまだにペーパーワークが残っている部分や、エクセルで計算式を組んで管理しているような作業です。それを、オンラインで簡単にできるようにしていきたいと思っています。

――サービスの開発には大勢のエンジニアが必要だと思います。何人くらいいるのでしょうか?

宮田 今、SmartHRの社員数は60名くらいで、その約4分の1がエンジニアです。さらに開発を加速させたいので、2倍くらいに増やしたいと思っていますが。

営業は4分の1くらいです。お問い合わせへの対応は、Web商談など、オンラインで済むことも多いのですが、「訪問してほしい」というご要望もいただくので、さらに人数が必要です。

サポートも4分の1。残りは、マーケティングとコーポレートです。

――どんな人材に入社してほしいですか?

宮田 コーポレートサイトにも掲げていますが、価値観やビジョンに合致する人ですね。評価制度にも落とし込んでいて、価値観を体現できているかを評価しています。

価値観は、「どうすればSmartHRの事業を伸ばすことができるか」を考える際の重要なポイントです。

たとえば、価値観の一つに、「一語一句に手間ひまかける」があります。デザインも、ソースコードも、テキストも、こだわって作ろう、ということです。

なぜこれが大事かというと、我々のソフトは新鋭サービスであり、対象顧客が幅広いからです。そういうものは、営業のリソースをかけるのが難しい。製品の力で、勝手に売れていく必要があります。「使いやすそうだな」と思っていただき、営業やサポートがなくても自分で使い始めていただけるよう、こだわって作らなければなりません。さらに、初めて使う「クラウド人事労務ソフト」が使いにくいものであっては、市場を狭めてしまい、普及する前に使われなくなっていきます。

――価値観という抽象的なものを評価制度に結びつけるのは、難しいと思います。どう工夫しているのですか?

宮田 具体的にどういう行動をするべきかをリストにして、それぞれチェックするシートを作っています。

また、本人と評価者とで認識のズレが生じないよう、2週間に1回、1 on 1の場を設けています。

――最後に、SmartHRが目指す将来像を教えてください。

宮田 SmartHRは、「働く人のインフラ」だといえると思います。

入社手続きをSmartHRで行なって、その後は、引っ越したり、子供が産まれたりした場合に、その届出もSmartHRで行なう。毎月の給与明細や源泉徴収票の取得も、SmartHRで可能です。

SmartHRのアカウントを持っていれば、安心して働ける。そう思っていただけるサービスを目指しています。

宮田昇始(みやた・しょうじ)〔株〕SmartHR代表取締役CEO
1984年、熊本県生まれ。大学を卒業後、IT企業にWebディレクターとして勤務。2013年、〔株〕KUFU(現・〔株〕SmartHR)を設立。2015年にSmartHRのサービスを開始。《写真撮影:長谷川博一》(『The 21 online』2018年05月29日 公開)

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