富裕層、セレブ、エグゼクティブの住む代名詞的な街になっている港区。その中でも特に“3A”と呼ばれる麻布・赤坂・青山は高級なイメージが強く、「住みたい街ランキング」にも出てこない。もしここに家族3人で住むマンションを買うとしたら、いったいどれくらいの世帯年収が必要になるのか?マンション価格、生活費、教育費などを考え、試算してみた。

同じ港区でも臨海部より相場高めの3A マンションの価格帯を確認

港区,年収
(画像=fizkes/Shutterstock.com) ※写真はイメージです

家族3人で暮らすのに無理のないマンションの広さはどのくらいか。『住んでいるのに全然知らない!?「住まい」の秘密<マンション編>』(加藤純著、実業之日本社)によると、家族が程よい距離感を保ちながら快適に暮らせるマンションの広さは、平均70平方メートルなのだそう。近年売り出された港区3A地区の新築マンションの相場をみると、70平方メートル台で5,500万円~2億3,000万円。

では、中古ではどうか?不動産情報サイト・アットホームによると、港区の2LDK~3DKの中古マンションの相場は約1億1,300万円。住宅地として人気の高い世田谷区の平均約4,750万円と比較しても、2倍以上と突出している。中でも3A地区は同じ港区でも臨海エリアよりも相場は高く、築数十年のマンションですら7,000万円台するものもある。リノベーションの費用なども考えると、おおよそ1億円が必要になってくると考えておくべきだろう。

1億円の物件を買うとしたら年収963万円が必要?

3人家族が住むマンションを3A地区に買うとしたら1億円はかかるとして、世帯年収はどのくらい必要だろうか?

仮に全額借入で1億円(諸費用込み)のマンションを購入する試算をしてみよう。35年ローンで、元利均等返済・ボーナス払いなし・1.79%の固定金利だと、年間の返済額は約385万円。フラット35の返済額負担率40%(年収700万円以上)で計算してみると、この金額を借入するためには、年収963万円以上が必要となる。年収がおよそ1,000万円はないと港区3Aでマンションを買う資金を調達すること自体が難しいと言える(※試算は住宅ローン以外の借入がないという条件。なおフラット35を利用する場合の貸付上限は8,000万円なので、自己資金2,000万円は準備することになる)。

世帯年収1,100万円がボーダーライン

ここで注意したいのは、借入限度額は無理なく返済できる額ではないということ。日々の生活や子供の教育にかかる費用や、住宅ローン以外にも課税標準額(建物なら時価)の1.4%の固定資産税がかかり続ける。

総務省統計局の家計調査では、年収1,000万円の人が属するクラスの月平均の消費支出は住居費を除いて42万円。年間で500万円ほどの消費支出に、住宅ローンの返済額が年385万円。仮に建物の課税標準額が購入価格の約半分で5,000万円としたら固定資産税が年70万円。これらを合わせると年間959万円になる。

子供の教育にかかる費用はどうだろうか。文部科学省の複数の調査結果を合わせて考えると、幼稚園から大学まですべて私立の場合は約570万円、すべて公立の場合は225万円ほどかかる。通学期間が19年間だとすると、年間で平均12万円~30万円の教育費が上乗せされることとなる。その他、習い事や塾代も含めると、子供の選択の幅をある程度確保するためにはおおよそ年収1,100万円は必要になってくるだろう。

現在の世帯年収が共働きで1,100万円以上あったとしても、業績などの影響を受けやすい職業だったり、どちらかの働き方が大きく変わったりすると、今後の収入が大きく減ることも考えられる。またローンで変動金利を選択した場合、今後金利が上がってきたときの返済額が増加するということも考えられる。現在だけではなく、将来に渡ってこの1,100万円以上をキープし続けられるのかどうかがポイントだ。

港区3Aに家を買うメリットは?

世帯単位での平均所得額は約560万円と言われている(厚生労働省 平成29年度版『国民生活基礎調査と概況』)。港区3Aに家族3人で住むには全国平均の2倍ほどの世帯年収が必要になると考えると、決して安いとは言えない。

一方で多くの企業が集まっているため、職住近接の時間的なメリットもある。また中古物件でも立地や造り次第では価値が下がりにくく、将来的な資産価値としても有望である。

価格の高さには理由がある。港区3Aをマンション購入の候補エリアとして「ちょっと考えてもいいかも」という年収高めのビジネスパーソンは、さらに詳しく調べてみるといいだろう。

文・MONEY TIMES編集部/MONEY TIMES

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