企業イベントへの集客支援のニーズが高まっている

Peatix,岩井直文
(画像=THE21オンライン)

――収益源としては、まずチケット販売の手数料収入がありますね。他には?

岩井 最近、特に伸びているのが、企業イベントへの集客支援です。

とりわけここ1年は、ユーザー数やイベント主催者数の伸びが大きいのですが、その要因の一つは、企業の利用が増えていることです。セミナーや展示会など、様々なイベントを、Peatixを使って、企業が開催するようになりました。もともと個人が開催するイベントを想定して始めたサービスですから、新しい展開です。

企業が抱えている課題の一つは、人手不足です。イベントを開催しても、受付に割ける人数が限られているので、長い列ができてしまう。それを解決するために、スマホ画面のボタンをタップしたり、QRコードを読み取るだけで受付ができるPeatixのチケット機能を、「便利なツール」として使っていただいています。

お求めがあれば、イベント運営のプロである協力会社から、現場に人を派遣することもしています。

しかし、それ以上に大きな課題が、集客なのです。以前なら、雑誌や新聞などに広告を打つことで集客できたのですが、今は難しくなっています。そこで、Peatixを使っていただいているのです。

また、最近の新しい流れとして「コミュニティの力をマーケティングに活かし、ユーザーさんと会って、もっとつながりを作りたい」という気運が企業の間で高まっています。その文脈で、イベントの企画や共催のご相談を受けたりもしています。

――Peatixの集客力に、企業が期待しているのですね。

岩井 Peatixにはコミュニティを作る機能があって、それをずっと磨き続けています。

具体的には、まず、イベントの参加者が主催者をフォローする機能があります。フォローすると、その主催者が新たにイベントを立ち上げたとき、その通知が届くようになります。そうすることで、初めてイベントを主催したときより2回目、2回目よりも3回目と、どんどん通知できるメンバーが増えていくのです。

また、それぞれのイベントにタグをつけて、あるイベントを、同じタグのついた過去のイベントに参加した人に、おすすめしています。例えば、過去にワインに関連したイベントに参加した人に、これから開催されるワインのイベントをおすすめする、ということです。

さらに、ワインのイベントに参加した人に、日本酒のイベントをおすすめする、ということもしています。「これに興味がある人は、これにも興味があるかもしれない」という判断をするシステムを、自社で開発しているのです。

――アジアでの伸びが大きいということでしたが、海外展開の進捗はいかがでしょう? 昨年7月には、海外比率30%と発表されています。

岩井 海外も伸びていますが、日本も伸びているので、比率としてはあまり変わっていませんね。

シンガポールでは、世界的なアーティストのライブがよく開催されるので、初めの頃は、そのチケットの販売に使っていただくことが多くありました。今では、日本と同じように、個人主催のカルチャー系のイベントも増えています。

ニューヨークについては、最近、始めたばかりですが、英語の落語など、日本のコンテンツを米国に送り出す試みもしています。ニューヨークのスタートアップ企業とのつながりができているので、それらを視察したい日本企業を案内したりもしていますね。