長い間物価が停滞し、すっかりデフレに慣れた日本人ですが、最近は日銀の量的金融緩和政策等の影響もあり、徐々にインフレへの傾向が強まっています。インフレになると資産を預金や現金で持つよりも不動産などのリスク資産で持つ方が良いと言われます。今回はこれから本格化するかもしれないインフレに対応できる運用スタイルを考えていきます。

物価上昇率2%で1億円は〇〇〇万円目減りする

インフレ,資産,物価上昇
(画像=Gustavo Frazao/Shutterstock.com)

インフレとはインフレーションの略で、物やサービスの値段が上昇する状態のことを指します。物の値段が上がるということは、相対的にお金の価値は下がるということです。そのためインフレ局面では預金や現金を多く持つことはおすすめの資産運用法であるとは言えません。このことをリアルに感じていただくため、実際にインフレ局面でお金の価値はどれくらい目減りするか確認してみましょう。

安部政権下の日本銀行が目標とする物価上昇率は2%です。資産を例えば年率0.1%の定期預金に預けて、もし1年後日銀が物価上昇率を達成すれば、物価は2%上昇し、金利0.1%を貰ったとしてもその差はマイナス1.9%となり、実質、資産が目減りしたことになります。

1.9%は大したことがないと感じるかもしれませんが、仮に1億円を預金している方であれば、「1億円×−1.9%」で199万円目減りしたことになります。インフレになると預金や現金を多く持っている方ほど、資産の目減りの影響が多大と言えるでしょう。

物件の価値が上がってもローン返済額は変わらない

インフレ局面では、融資を受けて投資をするのが有利とも言われます。少し極端な例ですが、例えば1億円の不動産を固定金利のフルローンで購入したとしましょう。数年後インフレになって、世の中の物価が全て2倍に上がったとします。家賃収入も不動産の価格も2倍になったとしても、融資を受けた金額はあくまでも1億円ですから、1億円を返済すれば良いのです。

物の値段が上がっても経済成長がない場合は要注意

インフレには良いインフレと悪いインフレがあります。良いインフレである場合は、経済が活性化し需要が供給を上回ることで需給がよくなり物価が上がります。こういった状況下では給料も上昇し、国民の消費も増えるので、更なる経済成長につながります。

ただし、原材料の高騰や為替の変動等により物の値段だけが上がり、実際的な経済成長が伴わない場合のインフレは注意が必要です。過去日本でもオイルショックなどで物価だけが上がり、経済成長を伴わなかった事例がありました。これを経済用語ではスタグフレーションと言います。経済成長が伴わず企業が儲かっていないため給料が上がらないにも関わらず、物価だけが高くなるため人々の生活は苦しくなることが予想されます。

デフレとインフレとでは資産運用の方法を劇的に変える

逆にデフレ局面では、インフレと逆にモノの価値が下がり、現金の価値が上がるので消費をしない方が得になります。バブル崩壊後の日本はまさにこの状態でした。

ここで重要なのは、「では今後、インフレとデフレどちらを意識して投資のポートフォリオを組むべきか」という点です。日本政府が一貫してインフレに強くこだわっており、ある程度の成果を収めている現実を考慮すると、インフレを意識したポートフォリオを組むのも一案でしょうか。

日本の消費者物価指数は2017年以降、0%台ではあるものの着実にプラスに転じています。さらに、日本銀行の最高意思決定機関「政策委員会」では、2018年~2020年の消費者物価指数を1%超と見通しています。

一方で、インフレ仕様のポートフォリオを組むにしても、消費税増税によるブレーキと、オリンピック需要のアクセルが日本経済にどのように影響を及ぼすかを注視しつつ慎重に考える必要はあります。

インフレ局面では「融資を受けての投資が有利」というのは先ほども触れた通りです。その中のひとつの選択肢が不動産経営です。知識や経験のない方はまずはセミナーや書籍などを通して情報収集からはじめると良いでしょう。(提供:Wealth Lounge


【オススメ記事 Wealth Lounge】
相続対策は「不動産評価」が決め手!その3つの具体策
ビジネスジェットはなぜ日本で広がらないのか?3つの誤解を解く
世界が混迷する今だから学びたい投資の原則!「相場の神様 本間宗久」の言葉
企業もふだんの行いが見られる時代!投資の評価軸として広がる「ESG」とは?
「相続対策の不動産投資」と「通常の不動産投資」。決定的な違いとは?