(本記事は、まつのすけ氏の著書『会社員をしつつ、株で元手40万から月250万ちょい稼いでいる件』ぱる出版、2018年10月24日刊の中から一部を抜粋・編集しています)
誰でも稼げる順張り6つのルール
イベント投資の勝率を上げる方法論の一つが「順張り」です。
もちろん、逆張りで勝率が高い局面も多数ありますが、逆張りの場合は難易度が高い側面があり、順張りの方が勝ちやすいと考えています。
本当は、下降トレンドのときに空売りするのも順張りだけど、ここでは上昇トレンドのときの「買い」を中心に解説します。
私は株式投資を開始した直後は逆張りが好きでした。
買う銘柄は押し目(上昇トレンド中の少しの下げ)を作っている銘柄や、あるいは出遅れている銘柄(同業企業の多くが上昇しているとき、取り残された銘柄)ばかりでした。
しかし、なかなか大勝できず、様々な投資本を読み漁ったところ、著名人ではジェシー・リバモア氏、ウィリアム・オニール氏の投資手法がしっくりと来ました。
諸々の投資家が提示している手法を実践していき、以下のルールを設けています。
【まつのすけ流エントリー・損切りのルール】
・買うのはチャートが上昇トレンドの銘柄が原則
・下落途中に買わない。押し目買いは反発してから
・ナンピンは確度Highの自信がある時のみ
・原則マイナス10%でロスカット。それ以外でも買った根拠が崩れたらロスカット
・一度売った銘柄を高値で買い戻すのを躊躇しない
・短期売買で評価損が出た銘柄を中長期投資に変えない
基本的には順張りとして、株式購入はチャートが右肩上がりの時のみで、空売りするのはチャートが右肩下がりの時のみを原則としています。
原則として買い増しは利益が出ている時だけとして、ナンピンするのはよほど自信がある確信度Highの時のみです。
判断が正しいと自信を持てる時しかポジションを取らず、期待値が高い売買に徹することを心がけています。
漫画『バガボンド』では、吉岡家の当主・吉岡清十郎が先代から「十度戦って十度勝てる相手としか戦わぬこと」という言葉を遺されたシーンがあります。
もちろん投資の世界には必勝はないわけですが、できる限りエッジが自分にある局面で勝負するように心掛けています。
相場が不安定でよくわからない時は無理をせず、安定的なトレンドが出ている時に大きくベットするイメージで投資を行っています。
以上を心掛けるとパフォーマンスが安定し、年間ベースのトータルでは毎年利益が出せるようになりました。
基本的にはリスク管理を万全にして、最悪のケースを想定した上で投資を行い、一発退場はないようにリスク・コントロールします。
優待目的の長期保有株、長期優待の条件クリアのための端株などを除いては、原則として評価損が二桁のマイナス10%に達したらロスカットするようにしています。
マイナス10%という数字に理論的な根拠はありませんが、キリがいい数字である点、多くの偉大な投資家がロスカットラインをマイナス7%~マイナス10%に設定しているなどの理由で採用しています。
最初に「1銘柄でこれ以上負けると心への打撃が大きすぎて、以降の投資活動に悪影響が出る」という金額を設定して、そこを1銘柄あたりの損失上限額にすることが重要だと考えます。
損失や一時的な評価損で生じるメンタルへの負荷は、人によって変わってきます。
100万円負けてもへっちゃらな方、評価損が数百万円でも冷静な方、数万円でも動揺する方など千差万別です。
仮に負けたとしても、以降の投資活動に影響が及ばない範囲でリスクテイクするのが無難です。
「損切り貧乏」にならない究極の損切りルール
ロスカットのルールを設けると、投資で重要とされている資金管理が自然に実践できるのが大きなメリットです。
イベント投資でもお金のマネジメントが重要になります。
10%で損切りを行う場合、許容損失額が1銘柄あたり100万円なら購入可能となるのは最大1000万円までとなります。
投資可能額が明白になり、熱くなってついつい一銘柄に集中投資してしまうことを避けられます。
損切りルールを設けると、ロスカットラインにタッチしてその後に再上昇するというケースも出てきます。
売買頻度が上がってバイ&ホールドと比較すると取引コストに悪影響が及ぶ点がデメリットです。
これを避けるためには、期待値が高い局面でのみ取引することです。
そうすると必然的に勝率が上がっていく可能性がアップします。
勝率が低い局面ではロットを抑えて、高い局面ではアクセルを踏むという資金管理が損切りルールの設定で良好になりました。
確かに、「自分が評価損を抱えているか否か」などの「自分の買値」というのは、今後の株価の変動とは全く無関係です。
購入株価を基準にするのはロジカルな美しさに欠けます。
行動経済学で言うところの「アンカリング効果」による非合理的行動という色彩も帯びています。
アンカリング効果とは、最初に提示した価格や情報が消費者の購買判断の基準に大きな影響を及ぼす傾向、を指します。
しかし、投資で大損する典型的なパターンは、トレンドに逆行してナンピンを繰り返して、さらに膨らんだ大きな評価損に耐えきれなくなって投げることです。
もしくは塩漬けになった株式を抱えたまま、資金が拘束されて為す術がなくなってしまう場合も多々あります。
しかし、ロスカットルールを設ければ、こういうことはなくなります。
順張り&ロスカットを基本とすると、ポートフォリオに評価損が生じることはほとんどなく、基本的には常に評価益を抱えている状態になり、ストレスフリーないし低い精神的負担で投資することが可能になります。
例外的な逆張りで爆益を狙うケースとは?
統計的にこのタイミングで逆張りするとパフォーマンスが良いというケースでは、逆張りも有効となり、私もここぞという局面では逆張りを行っています。
たとえば、非貸借銘柄で人気の高い株主優待を実施している企業の場合、権利落ち日(権利確定日の次の日)に株価が大きく下落する傾向があります。
また、その後しばらく緩やかな下落~ヨコヨコを経て再上昇していく傾向があります。
こうした銘柄をヨコヨコになって緩やかに上昇しそうになったタイミングで逆張り的に購入すると、その後の株価上昇によるキャピタルゲインを獲得することが可能です。
また、2018年2月やチャイナ・ショック、2015年1月・2013年5月・東日本大震災・リーマンショックなど、定期的に相場全体が大きく暴落する局面では逆張りで拾うと大きなリターンを得られるため逆張りで買うことがあります。
株式市場全体が大暴落する状況では、無条件でほぼ全ての株式が大きく下落します。
人気が高い株主優待の権利確定日が数週間後といった銘柄でも株価が暴落するので、そうした局面では拾うことを心がけています。
新安値更新銘柄が多数、移動平均線乖離率がマイナス25%の銘柄が多数、日経平均先物にサーキットブレーカー(ストップ安)といった状況では、株主優待の権利確定日が近い銘柄を狙うことにしています。
さらに業績は絶好調であるにもかかわらず、POや立会外分売で大々的に売り出しが行われて、一時的に需給バランスが崩れて大きく下落するようなことがあります。
そのようなケースでは逆張りを行う場合もあります。
ピラミッディングで賢くリスクを分散する
順張りスタイルの投資家で利用する方が多いのが「ピラミッディング」という資金管理手法です。
最初に一度に投資せずに、含み益が出るに連れてポジションを増やしていく買い方が特徴で、古代エジプトのピラミッドが由来の言葉です。
その名の通り、株式の購入量を図式化するとピラミッドの形に似ています。
一度に購入するのではなく、2分割~数分割して複数回のタイミングで購入して、最初に購入してから首尾よく含み益が出たら、徐々にポジションを増やしていく手法となります。
一括投資の場合と比較すると買いタイミングが分散されるので、リスクを抑制することが可能になります。
右肩上がりとなったら、最初から全額投資していた場合と比較して、機会損失が生じる点、ポジション増加後に逆行すると評価益が消える結果となる可能性がある、の2点です。
ピラミッティングには(1)最初に購入する金額を大きくする、(2)数度に分けて均等金額を購入、(3)後の方の購入額を多額にするなど、いくつかのパターンがあります。
意図したトレンドが出た時の利益は(1)が最大、(3)が最小となり、逆になって裏目になった時の損失は、(1)が最大、(3)が最小となります。
順張り派は基本的にはチャートが右肩上がりでない場合は何もしないので、タイミングが来るまではじっと待つことが重要になります。
期待値と自信が高いポイントでのみエントリーすることで勝率が上がります。
チャンスまで待てずに頻繁に売買すると、予測が外れる可能性がアップしてしまいます。
ナンピンは冷静なときに下落の深い時点で行う
順張りの真逆である逆張りの投資方法の筆頭が「ナンピン」(難平)です。
ポジションが逆行し、含み損になった時に株式を買い増すことです。
平均購入金額が下がるので、少しの株価反発で評価益に転じやすくなる点がメリットです。
最初に購入した後に株価が下落したとしても、ナンピンによって買い単価を下げていくと、どこかで株価が反転するとプラスになりやすいので、勝率が上がります。
株価は一方的に下落し続けることは少なく、一時的に反発することがよくあるので、ナンピンを行うと結果としてプラスで逃げられることが多くなります。
その後も株価下落が続いた場合は、結果的に大損となりやすい点に注意が必要です。トレンドに逆らってナンピンを続けて、反転することなく下落が続いた場合、一発で大きな損失を抱えてしまいます。
また、分散投資派の方にとっては、一銘柄にリスクが集中して、ポートフォリオ(資産の組合せ)のバランスが崩れてしまうのもデメリットです。
ナンピンを行うと損失が拡大するリスク、うまく株価が戻って儲けられる可能性の双方が拡大します。
いずれにせよ保有リスク量は拡大するので、評価損を抱えて頭に血が上った状態でナンピンを繰り返すと危険度が拡大します。
ファンダメンタルズに変化がないと仮定すると、株価の下落は自分の購入価格よりも割安になったということなので、ナンピンというのは心理的に取りやすい行動となります。
このバイアスというか希望的観測によりかかったナンピンは危険です。
ナンピンを行う場合は、少々株価が下落した浅い段階で買い増すのではなく、下落率が高くなって十分に引きつけてからナンピンするようにしましょう。
損切りルールに引っかかったのに「今回だけは戻る」と考えを曲げて、ナンピンすることや、当初ポジションを取った理由が消えて、そのロングやショートポジションを取っている理由がないにもかかわらず、「評価損を消して逃げたい」一心でナンピンするのは避けるのが無難です。
ナンピンすればする程どこかで反発して、微益ないし微損で撤退できる確率が上昇しますが、時として強力なトレンドが生じて一方向に進んだ場合は、損失がみるみる拡大してしまうことがあり、そのようなケースでは一撃で大損するリスクがある点に注意が必要です。
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