常に勝ち続けられるほど甘くない世界でどうやって「億り人」になれるのだろうか――。
投資手法の編み出し方や投資で成功するための秘訣、日々のお金の使い方や時間の使い方などを聞いていく連載『億り人の投資哲学 JACKが聞く「勝利の法則」』。今回は、33歳で億り人になり、10月にご自身初の著書『会社員をしつつ、株で元手40万から月250万ちょい稼いでいる件』を上梓された「まつのすけさん」にお話を聞いた。
安定的なリターンに繋がるようになった投資手法や2018年最大のIPOとして注目されているソフトバンクに対する見解も教えていただいた。(聞き手:JACKさん、編集:押田裕太)※本インタビューは10月24日に実施されました
目次
まつのすけさんの投資のキッカケ
――投資のキッカケから教えてください。
社会人になった2005年8月〜9月くらいの頃に投資を始めました。当時は小泉郵政解散の後の株価上昇で周りの人も投資をしていた人が多く影響を受けましたのがキッカケです。
ほとんどの株が上昇していたので、銘柄選びでよほど失敗をしなければ大体儲かる相場でした。周りで始めていた人も「50万円で買ったのがあっという間に60万円になったよ」と、そういった話ばかりでしたので興味を持ちました。その頃の全財産は40万円くらいで、それを入金して始めました。
――では、まさしく新著『会社員をしつつ、株で元手40万から月250万ちょい稼いでいる件』のタイトルどおりですね。
本当に相場がよかったので、成長性が高そうな銘柄を買っていたら、ほぼ上がっていきました。最初は有頂天で、なんて良い世界だと思い、すごい勢いではまっていきました。
――ある程度ミーハーな株が多かった?
そうですね。最初はヤフー(4689)とか。
ところが、ライブドアショックで保有していた株がドカンと下落しました。そのときはじめて、みるみるうちに自分の資産が減る体験をして、株の怖さを実感しました。ただそのときは戻るという感覚があり、案の定、戻りました。
――すごいですね。大損してもやめずに耐えるという。その感覚はなんとなくあったのでしょうか?
ひとりの社長が捕まっただけなので、それで日本経済全体が沈むわけは絶対ないだろうと。投資を初めてまだ3~4カ月でしたし、信用口座もまだ開いておらず、現物だけでしたので耐えられました。
――ちなみにリーマンショックなんかも大丈夫でした?
自分はあまりそこまでダメージを受けませんでしたね。評価損があまりに膨らむことを嫌う性格も手伝って、売ったり買ったりをこまめにやっていましたので大負けはしませんでした。評価損が膨らんだらすぐ損切りするようなスタイルでしたから、リーマンショックの暴落に巻き込まれずに済みました。
ただ、上手くいくこともあればそうでないときもありましたね。本当に良くもなく、悪くもなく標準的なパフォーマンスでした。
2005年〜2010年くらいまでは完全裁量投資と言いますか、純粋に割安で成長性もありそうな銘柄を買い付け、うまくいけば利食いして、だめだったら損切りしてといったことを繰り返していました。致命的に追いやられることはなく、うだつの上がらない感じでしたが、一応はプラスを保つことができていました。あとは、株の世界がものすごく面白くて。売ったり買ったりするのが、単純に面白かったです。
今思えば新興市場は2006年〜2011年くらいまでは、いわゆる下げ相場、あるいはボックス相場で、そこで自分はバイアンドホールドじゃなかったので、退場することはなく。ただ、大儲けもできず、勝ったり負けたりでした。
2011年くらいに優待クロス取引も始めて、せこいですがそういう話を聞いて、「あ、いいじゃん」と。
――鉄板ですよね。
当時は株価がまだ低かったので、おいしい銘柄だと2ヵ月くらい前からクロス取引をしても、おいしい銘柄がゴロゴロありましたね。そういうことをやっていましたが、「売り」のほうでやたら損失が出ることが多いことに気づきまして。
――両建てしてみると「売り」のほうが損が出たと。となると必然的に、逆転の発想で「買い」だけで良いのではと。優待先回り投資にたどり着いたということですね。
ちょうどその頃、夕凪さんからたまたまツイッターをフォローしていただきまして。雑誌に載っている有名人でしたから嬉しかったのを覚えています。夕凪さんのサイトを見にいったら優待先回り投資について書かれていました。それまで自分は誰にも言わずにやっていたのですが、公表していることに驚きました。
――ちなみに今は何銘柄くらいお持ちなのでしょうか?私は20~30銘柄くらいです。
自分は100銘柄くらいですね。持ちっぱなしもあります。
――それはすごい。
でも多くは1銘柄5~10万円くらいですよ。4万円とか5万円とか。株主優待狙いで持ち続けています。勝負銘柄だと1銘柄数千万円、最大で1億円近く持ったこともあり、メリハリをつけるようにしています。