こんにちは。
相続税専門の税理士法人トゥモローズです。

相続税申告において重要な手続きに財産評価があります。その財産評価の中でも最も大きなウエイトを占めるのが土地の評価です。土地の評価額は評価する人が変われば同じ土地であっても同じ金額にはなりません。それだけ個別性が高く、また専門性が高い分野であるといえます。

今回は、相続税申告において使用する土地の評価方法について確認していきます。

1.財産評価基本通達による場合

① 路線価方式

市街化地域など一定の地域において国税庁が定める路線価に一定の補正をし、地積を乗じることによって評価額を算出します。
相続税申告において、最も一般的な方式です。
この方式において一番低い評価額で、かつ、税務署に否認されない評価額を算定できる税理士が本当の相続税専門の税理士と言えるでしょう。
そのためには、財産評価基本通達を熟知しているだけでは足らず、建築基準法、都市計画法、借地借家法など土地評価に関する様々な法律を知っている必要があります。また、一番低い評価を出すためには、現地や役所に行って減額ポイントを見つける嗅覚も必要となります。
土地評価は評価する税理士によって結果の評価額が異なります。つまり、土地の評価は唯一無二の作品を作っているような気分になれ、「お客様のために自分が一番低い評価額を算出するぞ!」という非常にやりがいを感じる業務の一つです。

② 倍率方式

路線価が設定されていない地域において採用される方式で、固定資産税評価額に一定の率を乗じて評価額を算出します。路線価方式に比べて各種補正がかけられた固定資産税評価額を使用するため税理士がどうにかできる場面は少ないですが、それでも、セットバック補正、広大地、利用区分など減額できるポイントはありますので注意しながら確認します。
また、固定資産税評価額が過大に評価されている可能性もあるため、パッとみて疑義があるような土地については、役所にて評価額の根拠を確認し、是正してもらうこともあります。

2. 不動産鑑定士による鑑定評価

不動産鑑定士という不動産の専門家に鑑定評価をしてもらって、その評価額を基に相続税申告をします。
例えば、建築基準法上の道路ではないのに路線価がついてしまっていたり、近隣と比べ路線価が明らかに不合理であったり、借地権等の権利関係がややこしかったり、地中に埋蔵物があったりなど、財産評価基本通達で評価してしまうと実態を表せないような超問題児な土地については、不動産鑑定士に鑑定評価を依頼します。

3. 売却価額

亡くなった後相続税の申告期限までに土地を売却した場合において、その売却価額が相続税評価額より低いときは、売却価額を評価額として申告することもあります。ただ、売り急ぎがあったりなど通常の経済取引でない売却対価の場合には税務当局から否認される可能性があるため注意が必要です。
なお、路線価方式による評価額が1億円の土地を2億円で申告期限までに売却しました。この場合の相続税申告の土地の評価額は1億円を採用すべきでしょうか?それとも2億円とすべきでしょうか?
答えは、1億円でOKです。
税務当局が定めている方式に則って計算していますので、それが売却時価に比べ低かったとしても税務当局は文句を言えないはずです。
なお、タワーマンションを相続開始直前に購入して、相続開始後に売却した事例では、売却価額の数分の一である相続税評価が認められなかったというケースも過去に存在します。したがって、極端なものについては否認される可能性がなきにしもあらずなので注意が必要です。(提供:税理士法人トゥモローズ)