相続税対策で爆発的売れ行きのタワーマンション
相続税対策で、2015年に入り、タワーマンションの販売が好調のようです。なぜタワーマンションを購入すると相続税対策になるのでしょうか?
1)時価と相続税評価の差が大きい
例えば、現金1億円を持っているとそのまま1億円に相続税がかかってきますが、タワーマンションの場合ですと、1億円の時価があるものが、相続税評価額になおすと3000万円程度になるということも珍しくありません。そうすると、「本当は1億円の価値」があるものが、3000万円程度の課税で済み、相続税の対象となる額を減らすことができるのです。
2)高層階プレミアムは税金には関係なし!?
タワーマンションの魅力といえば、高層階の眺望があります。同じ間取りでも、階数があがれば、通常販売価格も増加していくのが、タワーマンションの特徴です。しかし、相続税評価額を求める際に使用する固定資産税評価額には、この高層階プレミアムの部分は全く考慮されないのです。
例えば、2階南向き2LDK の部屋と、40階南向き2LDKの部屋とでは、販売価格に大きな差がありますが、間取りが全く同じであれば、相続税評価額は同じになります。
このように、「時価」と「相続税評価額」に大きな差が出るところが、タワーマンション節税のポイントになります。
タワーマンション節税の注意点
このように相続税改正で流行っているタワーマンション節税ですが、注意点もあります。
平成23年の裁決事例で、下記のような事案があり、税務署から否認されています。
(分かりやすいように数字等を修正しています。)
1.平成19年7月父が入院。
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2.平成19年8月父名義でマンション(タワーマンション30階の1室)を約3億円で取得する売買契約を締結。
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3.平成19月9日父が死亡。
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4.平成19年11月 相続人への相続登記が完了。
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5.平成20年に相続税申告書を提出(タワーマンションを約5,800万円で評価)
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6.平成20年7月に相続人がマンションを約3億円で売却する売買契約を締結。
という概要です。お父さんの体調が悪くなったので、相続税の節税対策で慌ててタワーマンションを3億円で購入し、相続税評価額は約5,800万円で申告、その後すぐにまた3億円で売却しています。
このケースで税務署は、5,800万円で申告したタワーマンションの評価額は適正な時価ではなく、3億円での評価修正を求め、納税者が敗訴しました。この事案での納税者の落ち度としては、やはり「相続後にすぐに売却してしまった」点にあります。所有し続けていれば、この指摘はなかったかもしれませんが、すぐに売却したことにより、時価と相続税評価額の差が、明るみに出て、税務署からの指摘を受けてしまいました。
タワーマンション節税は税務署に封じられるか?
上記でご紹介したように、タワーマンション節税は、資産の時価と相続税評価額との乖離幅があまりにも大きくなっているため、税務署がタワーマンションの相続税評価額の方法を変更する改正案を出してくるかもしれません。そういったリスクも勘案した上で、節税の観点からだけではなく、タワーマンションそのものの資産性等を十分に吟味した上で、相続税対策を行っていくことが重要だと思われます。
(提供:チェスターNEWS)